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どうなる“農協改革”~立ちはだかる岩盤~

2015年1月1日 19:42

 2014年6月、政府の規制改革会議は、地域の農協が独自の取り組みを進められるよう農協の組織改革を提言し、実施計画には農協の見直しが盛り込まれた。

 その中でも、最も注目されたのが、全国700の地域レベルの農協のトップにたつJA全中(全国農業協同組合中央会)を廃止するという改革案だ。JA全中は農協法で地域農協を指導する権限が認められているが、農協法上の中央会制度は制度発足時から状況が変化していることを踏まえ、実施計画には適切な移行期間を設けた上で“自立的な新たな制度に移行する”と明記された。

 しかし、JAグループはこうした政府の計画に真っ向から反対。自ら自己改革に向けた有識者会議を開き、独自の自己改革案をまとめた。ところが、その内容は政府のまとめた計画とは大きくかけ離れたものだった。JAグループの自己改革案では、現在の中央会が持つ全国の地域農協に対する指導権を廃止し、一律の「指導」から個別の「相談」に転換する一方、地域の農協への監査権については農協の経営健全性を図るため、農協の特質を踏まえた監査が必要だとして維持している。また、こうした監査を確実に行うため、「新しい中央会」をこれまで通り、農協法上に位置づけられた組織として存続させることが必要としている。

 この“事実上の現状維持”とも取れる自己改革案について、所管する農水省の西川農水相は「ズレがある」と厳しく指摘。今後、さらに踏み込んで協議していく考えを明らかにした。また、政府の規制改革会議も「中央会は純粋な民間組織として、自らの実力で組織を束ねればよく、法律上の権限を背景とすることなく事業を遂行できるはず」と指摘。さらに、地域の農協への監査権についても「農協の経営相談と監査を同一の主体が実施することは“監査の独立”により信頼性を確保していく上で問題がある」とした。

 農協改革を巡り、政府の前に分厚く立ちはだかるJAグループという岩盤。政府は、2015年の通常国会で関連法案の提出を目指しているが、今後、この岩盤をどのように崩していくのか、JAグループとの調整は難航が予想される。