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2015年 経済回復のカギは「個人消費」

2014年12月31日 12:42
2015年 経済回復のカギは「個人消費」

 2014年の日本経済。景気は緩やかに回復しながら、思うように伸びなかったのが個人消費だ。2015年、個人消費は力強さを取り戻すのだろうか。経済部・井口明生記者が報告する。

 安倍首相が掲げる経済政策「アベノミクス」が大きな争点となった師走の総選挙。結果は自民党の圧勝に終わった。しかし、景気の先行きは不透明だ。

 内閣府が発表した日本のGDP(=国内総生産)成長率は消費増税後、2期連続でマイナスとなった。また、鮮明になっているのが個人消費の落ち込みだ。消費増税に加え、円安による輸入価格の高騰で物価が上昇、家庭の消費支出が減少した。

 その影響を強く受けたのが百貨店やスーパーなどの小売業界だ。全国の百貨店やスーパーの売り上げは4月以降、前年の売り上げを下回る状態が続いている。厳しい環境で競争に勝ち残るため、業界では新たな動きもあった。かつて小売業界で初めて売上高1兆円を達成するなど業界トップに君臨したダイエーが、イオンの完全子会社として新たなスタートを切ることになったのだ。今期も赤字を見込んでおり、本格的な再建が急務になっている。

 私たちは再建のカギとなる場所を訪れた。11月にリニューアルオープンした千葉県市川市にあるダイエーの店舗だ。生鮮食品の売り場などが買い物客でにぎわいを見せる一方、スーパーと同じフロアには農薬などを使用しない「オーガニック」な商品を集めた店舗、講師が料理のメニューを提案する料理教室がある。また、健康状態を自分でチェックできるコーナーも設置され、健康状態を踏まえてどのような食生活にすべきか、栄養士に相談することもできるという。

 ダイエーはスーパーに加え、それ以外の店舗の充実も図っていたが、その狙いは何なのか。専務に聞いた。

 ダイエー・近澤靖英専務「イオンの完全子会社として、新たな成長戦略に入ると考えています。その中で食品に特化して、日本ナンバー1の食品小売業を目指していきたい。食べる喜びそのものをもっともっと追求していけるような食の提供のサービス業を目指していきたい」

 専門家は「政府の対策も必要だ」と語る。

 第一生命経済研究所の永濱利廣・主席エコノミスト「消費マインドが萎縮している中で、差別化を図って消費者の財布をこじ開けられるかというところにかかってくる。景気対策で直接、家計にお金を支給するとか、賃上げ要請によって賃金の上昇がある程度、政府主導でやっていかないと、なかなか厳しい状況」

 本格的な景気回復には個人消費の回復が絶対条件だ。政府の経済対策は、効果的に個人消費回復につながっていくのか。個人消費のカギとなる賃金の上昇は日本全体に広がるのか。2015年は重要な年となる。