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村尾キャスター、安倍首相を直撃(2)

2014年11月19日 3:24

 安倍首相は18日、消費税率の引き上げを2017年4月に先送りし、21日に衆議院を解散する方針を表明した。会見後の安倍首相を「NEWS ZERO」の村尾キャスターが直撃した。


■“アベノミクス”うまくいっている?

「我々が政権を取る前は、まさにマイナス成長でした。我々が政権を取ってからプラス成長に転じました。大切なのは、例えば経済の数値では、指標では雇用と賃金です。雇用においては有効求人倍率、22年ぶりの高水準です。今年の大卒・高卒の内定率も上がっています。特に高卒者は我々が政権を取ってから14%も上がった。これは本当に大幅に上がっていると思います」

「倒産件数も22年ぶりの低水準になりました。賃金も今年の4月、2%以上上がりました。2%以上というのは、まさに物価安定目標を上回っているといってもいい。いわば15年間で最高と言ってもいいんですね。その意味においては、雇用は拡大し、賃金は上昇し、消費は拡大し、景気が回復をしていく、さらに回復していくという景気の好循環は生まれ始めたのは事実です」

「企業が最高収益を上げている、そしてそれが雇用の拡大と賃金の上昇に結びついていますが、まだデフレマインドが染みついていますから、その上がり方は十分ではないと思います。この上がった収益がもっともっと設備投資に、そしてこれは組合側もデフレマインドがまだあるんだと思いますが、しっかりとこれは給与になっていくという状況、特に地方においても作っていきたいと思いますが、チャンスをどんどん生かしていく必要があるんですね」

「海外からの観光客は昨年1000万人、今年は1200万人、いや1300万人になろうとしている。旅行収支、出て行く人、入ってくる人、使うお金の差額ですね、過去ずっと3兆円のマイナスだったものが黒字になったんです。これは1970年の万国博覧会以来です。これをもっともっと地方に、そして旅行に来た人たちがもっとお金を使うように我々も考えていかなければいけないと思っています」


村尾キャスター:総理、まさに今日、強調したように雇用は失業率も3.5%と非常に低い数字、人手不足のところもあるんです。今、問題なのは、人口が減っていく中で労働供給の制約がGDPの伸びをおさえる一因になっていると思うんですね。ですから、アベノミクスのこれからの有効な方策は、増税よりもむしろ女性の活躍など供給力をいかに増やしていくかが重要で、今解散・選挙している時ではなく、国会で成長戦略を議論して、それをどんどんやることのほうが先だと思いますが、どうでしょうか?


■国会で成長戦略を議論するべきでは?

「解散・総選挙をしても政府は続きます。当然我々はもうすでに、女性の活躍、進めていますね。安倍政権ができて女性が就業する、80万人増えたんですから、これは当然やっていきます。選挙をやっている期間というのはたった12日間ですから、12日間だけですよ。そして、この選挙において国民の信任が得られれば、私はそのパワーを生かしてもっとスピードアップしていきますよ。女性の活躍だって、大変これは抵抗があるんですから、国民の信頼を得てですね、これはしっかりと進めていきます」

「確かに法案はそうなりますが、しかし、もうすでに経済界側はしっかりと私の意思を受けてちゃんとやっていくということを表明しているんですから、その上で裏付けとなる法律を作っていきますよ。でもそれはちゃんと経済界には先行してもらいますし、これでこの国会が来年の例えば通常国会になったとしても、遅れるということにはなりません。どちらにしろ、いつかは選挙やらなきゃいけないんですから、4年間のうちにどこかでそういう時期が出ます」


村尾キャスター:安倍政権はあと2年間もあるんですよ。

「問うべきは、解散するかどうかではなくて政策でしょう」

村尾キャスター:今選挙しなくても、我々はその2年間の成果をじっくり見極めてから選挙で評価したいと思っています。


■任期2年残しての“解散”

「でもそれはですね、私は間違っていると思います。つまり税制上の大きな変更をする以上ですね、私はそれはたとえ、これだけ議席を得ていても、この議席を維持するというのは至難の業ですから、しかしそれであっても私はやらなければいけないと思います」

「今あなたがおっしゃった言い方で言えば、何もしなくたって、じゃあ2年間、私は務められるかということになるわけであって、むしろちゃんとした仕事をするために選挙をやるんですよ。我々は常に命を懸けています。選挙は政治家にとって命がけなんですよ。そんな簡単なことではありません。国会議員290名、自民党の全員が首を切られるわけから、その判断を私はしました。これ、重い重い判断なんですよ。そんな簡単なことで私は選挙なんかしません」

「私たちが筋を通していく、まさに議会制民主主義の基本は税ですから、野党時代にそれで追及した。当然私たちは王道を歩んでいく、当然のことだろうと思います。村尾さんのような批判がある、ああいう批判も覚悟の上なんです。そういう批判を受けたくなければ、選挙をやらなければいいんですよ。もうあと予算委員会もない中で、私は総理の部屋に座っていれば済む、しかし、そうすべきでないということを私は判断したわけであります」


■GDPマイナス成長。アベノミクス最大の誤算は?

「アベノミクスは着実に前進しています。しかし3%の消費税引き上げによって個人消費が2%押し下げられたのは事実であります。それを2年連続行うわけにはいかないということであります」

「今申し上げたように賃金が上昇している、デフレではないという状況を作った、これ誤算ではないですよ。私たちが目指した方向に進んでいます。そして段々ですね、名目賃金も上がっていますし、実質賃金においても消費税増税分を除けば実際に物価の上昇に賃金が追いつきつつあるんです。ですから、これはまったく、かつてデフレ時代には起こっていなかった」

「2年前を皆さん思い出していただきたいと思います。円高によってどんどん会社は倒産していたではありませんか。企業は投資先を日本ではなく海外に求めた。輸出はどんどん減っていったんですよ。それを我々は輸出減を食い止めることができたんですよ。そして今、とうとう企業は日本に再び投資しようかと考え始めた。東芝は事実、三重県に再び投資をしましたね。大きな変化が起こり始めたんです」

「しかし、その動きを確実なものにするために、我々は18か月、消費税の引き上げを延期をしたということであります。そこで、では我々の政策がダメだと言うのであれば、本当に他に手段があるのであれば我々はぜひ教えていただきたい。そのこともですね、まさにこの選挙で議論したいと。今まで議論してなかったじゃないですか。私たちの政策がいいのか間違ってるのか、他に手段があるのかどうか、この選挙で国民と共に議論するんですよ。それこそが選挙の意義じゃありませんか」

「その上において自信をもってまさにこの政策を進めていく、デフレというのはマインドを払拭ですから、この政策は正しいと国民の信を得て初めて、それは力をもう一度得ることができると思います」