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“ペプチド”ワクチン がんに一定の効果か

2014年11月13日 22:30
“ペプチド”ワクチン がんに一定の効果か

 がん細胞のたんぱく質の一部「ペプチド」をワクチンとして頭頸部(けいぶ)の末期がん患者に注射することで生存期間を長くできたとする臨床研究の成果を、熊本大学大学院などの研究グループが13日、アメリカの医学誌に発表した。

 研究成果を発表したのは、熊本大学大学院生命科学研究部の篠原正徳名誉教授と西村泰治教授、それにアメリカ・シカゴ大学の中村祐輔教授らの研究グループ。西村教授らはがん細胞によく見られるたんぱく質の一部「ペプチド」から、遺伝子の型が合うことを条件に3種類を選んで頭頸部の末期がん患者にワクチンとして注射し、患者の免疫を活性化させることに成功したという。ワクチンを投与した患者55人のうち投与した患者は、投与しなかった患者に比べて生存期間が1.4か月ほど延び、中には4年以上たった現在も生存している患者がいるという。

 「今まで再発予防に対してあまり手がなかったが、ワクチンをがんをある程度取れたという患者さんの再発予防、転移予防に使えれば」「免疫は“先手必勝”だから、がんになる前にやる。『戦わずして勝つ』のが夢」-西村教授は「この方法は副作用がほとんどなくワクチンも比較的安価。医薬品としての世界一番乗りを目指したい」と話している。