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空からピザ配達?ロシアの無人機ビジネス

2014年10月10日 17:04
空からピザ配達?ロシアの無人機ビジネス

 ロシアではいまある物が空を飛んで運ばれてくるという。空を飛ぶあるものとは…山内康次記者が取材した。

 今年6月、インターネット上で公開され話題になった映像がある。突如、空に小型の無人飛行機が現れ、集まった人たちが注目…そんな中、無人機から長いロープで降ろされたのは、なんと“ピザ”だった。ロシアのピザチェーンが、無人機でピザを配達する実験をはじめたのだ。

 モスクワ郊外にあるピザチェーンの店舗。オーブンで焼き上がったばかりのピザをかかえて店から出てきた男性。実は、お客さんではない。無人機を開発した会社のスタッフだ。ピザを無人機に積み込み、離陸させた。町の人からは「気に入ったよ。無人機でピザを配達してほしいね」「私たちの町はいつも渋滞しているから、これは需要があると思うわ」という声が聞かれた。

 無人機での配達はまだ実験段階だが、これまでに約100回の配達に成功しており、今後、無人機による配達をロシア各地の店舗に拡大したい考えだ。ドードー・ピザのアナトリー・スルコフさんは「良い宣伝になりましたし、配達担当者を効率的に運用できます。車や歩きで行けない所にも、配達できるようになります」と話す。

 今回の配達実験で使われている無人機を開発した会社を訪ねると、ピザを積んで飛ばす準備をしていた。上空からピザを降ろす装置はリモコンで制御することができ、無人機に取り付けられたカメラからの映像を確認しながら、お客さんのもとへピザを降ろすという。無人機による配達が実用化されれば、お客さんは、インターネットでホームページからピザを注文する。ピザを決めて住所を入力し、最後にクレジットカードの情報を入力して支払いというボタンを押すと注文が完了する。ピザが焼き上がると、いよいよ無人機が離陸する。無人機を動かすには遠隔操作を行う“操縦席”を設置する。無人機から送られてくる映像を確認しながらの操縦だが、これまでの実験では半径5キロの範囲まで飛ばすことができたという。

 イスに座り、ピザを待っていると

 山内記者「あっ、いまですね、無人機がこちらに向って近付いてきていますよ」

 無事にピザはテーブルまで届くのだろうか。

 山内記者「私の真上に無人機が、ほぼ静止している状態です」

 すると…

 山内記者「あっ、いま、無人機の下の部分が開きましたよ。そして、私の方に向ってピザが、あーっ、ピザが…」

 なんと、失敗だ。

 今度は、テーブルではなく、立って待つことにした。

 操縦席では…

 操縦担当者「よく狙って、風で動いているな」

 山内記者「ピザが降りてきました。おーっ、ちょうど私の…キャッチ!取りました!ピザが届きました。ピザはきちんと形を保ってますね。少し冷めているかもしれませんけど、おいしいです」

 しかし、無人機によるピザの配達には、唯一の障害がある。ロシア連邦航空局によると、ピザの注文ごとに目的地や飛行経路などのフライトプランを当局に提出し、承認を得る必要があるということだ。それでも、この会社では実験を積み重ねた上で、あらゆる分野での無人機ビジネスに参入する計画を進めているという。

 無人機を開発したCOPTER EXPRESSのオレグ・ポンフィレノク社長は「すしなどの食品、携帯電話、小型家電、花の配達の話し合いもしている。世界中で配達サービスを立ち上げることができます」と語る。無人機を使った配達が当たり前になる日も近いのかもしれない。