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夢を追いブラジルへ!サッカー留学生の挑戦

2014年9月26日 16:11
夢を追いブラジルへ!サッカー留学生の挑戦

 夢を追いかけて、サッカー王国ブラジルに渡った日本人留学生がいる。異国の地で困難を乗り越えながら挑戦するワケを柳沢高志記者が取材した。

 ブラジル・サンパウロ近郊の都市「イトゥ」。体の大きな地元選手に混じってプレーする日本人選手がいた。池田圭太選手、19歳。地元プロサッカーチーム・イトゥアーノFCの20歳以下のチームに所属するサッカー留学生だ。

 イトゥアーノFCではプロを目指し、14歳から20歳までの約100人が寮生活を行っている。池田選手も4畳ほどの狭い部屋で、チームメート3人と相部屋だ。

 記者「ベッドの下には何が入っているんですか?」

 池田選手「シャンプーとかボディーソープですね。あと靴、置く場所がないので下に入れて」

 プロを目指して、高校卒業後の去年3月、ブラジルに渡った池田選手。なぜ、わざわざ地球の反対側でサッカーを学ぼうと思ったのだろうか。

 池田選手「ブラジルのサッカーは個人技が多くて好き。ドリブルとか最後は個人の力だと思うので、ブラジルで鍛えていきたいと思って、来ました」

 寮にはもう1人、日本からの留学生がいた。円乗聖裕選手、17歳。日本で中学を卒業後、去年3月にブラジルに渡り、17歳以下のチームに所属している。午前中は地元の高校に通っているが、授業はすべてポルトガル語だ。

 記者「ポルトガル語はどれくらい分かりますか?」

 円乗選手「友達と話すくらいなら…」

 記者「授業は大変ですか?」

 円乗選手「そうですね。言葉が違うのが大変です」

 午前中は学校、そして午後は練習に明け暮れる毎日。日本とブラジルのサッカーで一番違うのは“どん欲さ”だという。

 円乗選手「気持ちが違いますよね。ボールを1回1回取りに行くときも、足ごと、関係なしにきますね」

 毎日が厳しい競争の中での戦い。プロとして生き残れるのはわずかだ。2人の留学をコーディネートした土井エジソン氏に話を聞いた。

 土井さん「彼らは、チーム在籍が1年間保証されているわけではないんです。良い選手がいればどんどん入れ替わる。そういう競争の激しい環境の中で、夢を追っている」

 肉体的にも精神的にも過酷な生活の中、支えになるのは日本にいる家族だ。池田選手が見せてくれたスマートフォンには、母親からのこんなメッセージがあった。

 「一生のうち一度、経験できるかわからないことだから、なにごとも経験しなよ。それはきっと、圭太のためになるはずだから。頑張れ~」

 応援して、ブラジルに送り出してくれた家族。

 池田選手「ブラジルに来てから感謝の気持ちが大きくなって、両親や支えてくれている人たちみんなに感謝の気持ちで、一日一日を大事にしていこうと思えるようになりました」

 ブラジルでプロになることで恩返しをしたい、という池田選手。

 池田選手「得点の部分が大事になってくると思うので、点をいっぱい取って、使わざるを得ないぐらいの選手になりたいと思います」

 この日の取材では、池田選手が練習試合に先発出場。来た当初は、チームメートからパスを出してもらえなかったという。それでも毎日くじけず練習を続け、今では中心選手として、チームを引っ張る存在にまで成長した。

 試合開始10分。池田選手は、ゴール前でボールを呼び込み、左足でシュート。見事、チーム2点目のゴールを決めた。

 池田選手は、現在の思いをこう話してくれた。

 「今の目標はブラジルでプロになって、日本代表として4年後、8年後のワールドカップを目指しています。ひとつひとつ目標をクリアしていって、夢に近づいていけたらと思います」