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ガザ地区でいま何が?記者が見た惨状と支援

2014年8月22日 15:09
ガザ地区でいま何が?記者が見た惨状と支援

 パレスチナ自治区のガザ地区では、8月19日に一時停戦が崩壊し、再び戦闘が激しくなっている。天野英明記者は、一時停戦中のガザ地区に入り、取材することができた。すると、深刻な食糧不足の現状が見えてきた。

 8月7日、一時停戦が発効したガザ地区。現地で活動する国連WFP(=世界食糧計画)の協力を得て、天野記者はガザ地区に入った。ガザ市内で、まず目につくのは住民たちの長蛇の列。WFPによる食糧配給が行われていた。

 天野記者「WFPが小麦を配給しています。人々は体中、小麦で真っ白になりながら、食糧配給を受けていきます」

 配給されていたのは、小麦、油、砂糖、豆など、生活に欠かせない食糧だった。

 若めの男性「すべてが破壊され食べるものがない」

 白髪の男性「被害者の9割は、罪のない子供や女性、お年寄りです。今までで一番ひどい攻撃でした」

 7月8日に始まったイスラエル軍によるガザ地区への軍事作戦。その後、イスラエル軍は地上部隊の投入にも踏みきり、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織・ハマスとの間で激しい戦闘になった。ガザ地区の死者はこれまでに2000人以上にのぼっている。

 WFPによると、ガザ地区では自力で食糧を得ることができない住民は約6割にのぼり、これまでに70万人以上が食糧支援を受けたという。

 また、食糧以外の問題もある。ガザ市内の国連機関が運営する小学校には、戦火を逃れて避難してきた人々がところ狭しと生活していた。

 天野記者「ここは普段、学校なんですが、現在は避難所として使われています。約3000人が避難しているということです。下水の臭いも立ちこめていて、かなり不衛生な環境です」

 避難所の男性「多くの人々が、公衆トイレや外に行くときは、付き添いが必要だし、買い物の列も長く、洗濯物も手洗いです。すべてが困難です」

 食糧不足だけでなく、水や電気といったインフラ面のダメージも深刻だ。自宅が全壊するなどして、避難生活を余儀なくされている人は、今も約38万人にのぼるという。こうした状況が改善される日は来るのだろうか。

 WFPパレスチナ事務所・リカルデ代表は、ガザ地区の特殊な状況が人々の食糧調達を妨げていると説明する。

 リカルデ代表「ガザ地区の人々は、物の輸出が禁止され、生産もできません。完全に経済封鎖をされていて、自力で何も調達できません」

 周囲がすべて高い“分離壁”により囲われているガザ地区。イスラエルや隣国エジプトによる封鎖が行われていて、もともと人や物資の行き来が制限されていた。これに加えて起きた今回の戦闘。ガザ地区では、多くの人々が国際機関の援助に頼って生きるしかないのだ。

 一方、リカルデ代表は、こうした中で、日本からの支援物資もガザ地区に届けられていることを教えてくれた。

 リカルデ代表「日本政府は、よく援助をしてくれていて、これは届けられたものです」

 リカルデ代表が見せてくれたのはツナ缶。すでに700トン以上がガザ地区の住民に届けられたという。

 リカルデ代表「ツナ缶は栄養価も高く、長期間の保存もききます。日本政府からのこうした支援を、とてもうれしく思っています」

 今も困難な状況に置かれているガザ地区に住む人々。日本も含め、世界各国からの支援の継続が今後も必要だ。