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浸水・孤立・死者…台風11号、各地で被害

2014年8月10日 22:25
浸水・孤立・死者…台風11号、各地で被害

 台風11号は、10日午前6時過ぎに高知県に上陸した後、四国、近畿地方を縦断し、午後9時現在は、日本海を北上している。台風11号による各地の被害状況は以下の通り。

【近畿】
 和歌山県を流れる熊野川は、午前11時ごろ、新宮市の熊野川町で、雨による増水で氾濫し、一時、流域の広い範囲で避難指示・勧告が出された。午後6時現在では、近畿の288世帯898人に対して避難指示が、約11万世帯28万人に対して避難勧告が出されている。また、午後4時までの48時間雨量は、大阪市で222.5ミリ、神戸市で268.0ミリと観測史上最高を記録していて、近畿の広い範囲で土砂災害警戒情報が出されている。

 兵庫県姫路市を流れる船場川では午後2時過ぎ、河口付近の川岸で、50代から70代くらいの女性が死亡しているのが見つかった。増水していた川に誤って転落した可能性があるという。また、和歌山市の加太では10日朝、サーフィンをしていた男性1人が波にさらわれ、午後9時現在も行方不明になっている。当時、7~8メートルの高さの波があったという。

 近畿では、台風によるものとみられる死者が2人、ケガ人が13人、行方不明者が1人で、100棟あまりの家屋で床上・床下浸水などによる被害が出ている。


【岐阜県】
 岐阜県では午後から雨脚が強まり、本巣市で土砂崩れにより35世帯が孤立状態になっている。岐阜土木事務所によると、午後3時半ごろ本巣市根尾能郷地区など2か所で土砂崩れが発生、国道157号が寸断され、住民あわせて35世帯60人が孤立状態だという。住宅被害やケガ人の情報は入っていない。岐阜県では、大垣市で引き続き土砂災害警戒情報が出されていて、厳重な警戒が必要なほか、三重県や愛知県でも引き続き注意が必要となっている。


【高知県】
 高知県では、馬路村や北川村の複数の場所で土砂崩れが発生している。馬路村役場や県によると、先週から続いた台風による雨の影響で、県道の複数の場所で大小いくつもの土砂崩れが発生し、このうち村役場周辺に通じる主要な道路が寸断された。午後5時過ぎに片側交互通行になったが、それまでの間、村全体の941人が一時、孤立状態に陥っていた。

 一方、北川村では58世帯が孤立している。馬路村と北川村によると、数日分の食料はあるということだが、平常の生活を取り戻すには時間がかかりそうだ。


【徳島県】
 今月1日の降り始めからの雨量は、上勝町で1510ミリ、那賀町で1330ミリ、三好市で1033ミリ、海陽町で1012ミリなどとなった。阿南市蒲生田では、10日朝、観測史上最大となる44メートルの最大瞬間風速を観測した。台風11号は日本海に抜けたが、県内では引き続き、土砂災害や河川の増水、氾濫に厳重な警戒が必要となっている。

 四国放送のまとめでは、台風11号の影響で鳴門市大麻町馬詰地区の旧吉野川沿いと、徳島市の国府町や南沖洲などで床上浸水が出ているほか、鳴門市や徳島市、北島町などで床下浸水の被害が確認されている。

 また那賀町の那賀警察署では、川から溢れた水が警察署内に流れ込み、1階部分が30センチほど浸水した。自家用発電機によって通信機器などに支障はないということだが、阿南市方面の初動に対応できないため、阿南警察署が対応することにしている。

 一方、午後4時現在で県内では4948戸の停電が発生している。阿南市加茂谷地区では、那賀川の増水の影響で、あたり一帯が水浸しとなった。避難所の1つになっている加茂谷中学校も1階部分が完全に水につかり、2階部分も床上30センチほどまで浸水した。

 また9日夜、東みよし町昼間の民家が倒壊した。幅約10メートル、高さ約15メートルにわたって土砂が崩れていて、木造平屋建ての住宅が倒壊していた。中には82歳の男性がいたが、自力で脱出しケガはなかった。