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笹井氏、謝罪会見の1か月前に入院

2014年8月6日 2:36
笹井氏、謝罪会見の1か月前に入院

 STAP細胞論文の著者の一人で、小保方晴子氏を指導していた理化学研究所、発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長が5日、自殺した。現場には、小保方氏らに宛てたとみられる複数の遺書も残されていた。理化学研究所は5日、会見を開き、最近は「心身ともに疲れていた」と明かした。

 再生医療の分野で世界的な研究者だった笹井氏。万能細胞の一つ、ES細胞から網膜などを作る研究でノーベル賞候補と目されていた。去年1月には、安倍首相を前に最先端の研究を説明したこともあった。

 STAP論文が科学誌「ネイチャー」に掲載されたことには、小保方氏を指導した笹井氏の名声が大きく影響したとされている。

 しかしその後、理研の調査委員会が、小保方氏が論文で「ねつ造」と「改ざん」を行っていたと認定、笹井氏もデータの正確性を確認せず、不正を招いたと指摘された。

 今年4月の会見で「疑惑を招く事態となったことを心からお詫び申し上げます」と謝罪した笹井氏。しかしSTAP細胞については、「この現象をもしも存在しないと思っていたら、共著者には加わっていなかったと思います」と話していた。

 この謝罪会見の1か月前に、笹井氏が入院していたことが5日、明らかにされた。

 理研・加賀屋悟広報室長「心理的なストレスがあったと聞いておりまして、(入院)期間は明確には分かりませんが、1か月なかったか、それくらいのイメージ。その期間である程度回復したということで退院と聞いている」

 しかしその後、理研の担当者は笹井氏と話をするたびに違和感を覚えたという。

 加賀屋広報室長「非常に責任感が強く、しっかりしたご意見をお持ちですので、これまでであればいろんなケースの取材についても積極的にというか、責任を持って『必要あれば受けるよ』というところが(その頃は)なかなか(取材を受けない)というところはあった」「(Q:責任感がいつもより欠ける発言が?)まあそうですね」

 6月、外部有識者でつくる理研の改革委員会は、笹井氏が副センター長をつとめる発生・再生科学総合研究センターの解体と笹井氏らの退任を求めた。

 この時点では、すでに辞任を決意していたという笹井氏。理研の関係者によると、自分の研究室のメンバーの再就職先を探していたという。そして10日前、研究室の複数の人間がさらなる異変に気づいたという。

 理研CDB・竹市雅俊センター長「彼は研究室にずっと来ていたと思うんですけども、研究員とのディスカッションが成立しないという、そういう状況があったと聞いています」

 研究員との会話がかみ合わない状態になったという笹井氏。

 竹市センター長「ただちに家族と連絡して、休養とか治療とかを受ける方がいいんじゃないかと、そういう相談を始めたところです」「(家族は)彼と話をして『休養をしましょうね』とかそういう話をされたと聞いています。(笹井氏は)非常に強い責任を感じていたわけで、そのことは残念ながら世の中には伝わっていない。たぶん精神的に彼は耐えられない状態になったということですから、それ以上のコメントを私はできません」

 STAP細胞の検証作業の中間報告は、今月上旬にも行われる予定だった。