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タイ・クーデターは「反政府側の勝利」

2014年5月23日 0:01
タイ・クーデターは「反政府側の勝利」

 政治の混乱が続いていたタイで陸軍の司令官が日本時間の22日夕方会見し、「全権を掌握した」と述べてクーデターを宣言した。司令官は、全土に午後10時から午前5時までの夜間外出禁止令を出し、国民に「通常通りの生活をおくるよう」求めている。間もなく夜間外出禁止令の時間をむかえるバンコクから山崎大輔記者が伝える。

 夜間外出禁止令を受けて、デモ隊は続々と家に帰り始めている。クーデターと言うと緊張感がただようイメージがあるが、反政府デモ隊の拠点では歓迎ムードだ。なぜかと言うと、一言で言えば今回のクーデターは「反政府側の勝利」だからだ。選挙では分が悪い反政府側は、選挙を行わないで新政権を樹立することを求めていて、結果的にそのもくろみ通りになった。

 軍は憲法を停止し、現在の政権を廃止することを明らかにした。ニワットタムロン暫定首相に軍施設への出頭を求めるなど、矢継ぎ早に手を打っている。軍は、国王への承認を早期に取り付けたいとしている。国王が政治に隠然たる影響力をもつタイでは、国王への理解が必要というのはいわば不文律で、既にある程度の理解を得ているものとみられる。

 今後、軍が事態をすみやかに収拾できるかが問われるが、政治が混乱する度に、最後は軍がクーデターに乗り出して事態を収拾するというこれまでの手法がまた繰り返されたことに、内外での批判が高まっている。力を背景にインラック前政権支持派を抑え込めるかは不透明な情勢だ。