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共同声明“先送り” TPP攻防の裏側

2014年4月24日 16:42
共同声明“先送り” TPP攻防の裏側

 来日中のアメリカ・オバマ大統領は24日午前、安倍首相と首脳会談を行ったが、TPP(=環太平洋経済連携協定)を巡って共同宣言の発表が先送りされる異例の事態になっている。国会記者会館から田中秀雄記者が伝える。

 首脳会談の焦点は中国に対する日米同盟のあり方とTPP交渉だった。尖閣諸島を巡って中国が挑発行為を続けていることについて、オバマ大統領は24日午後に行われた共同会見で踏み込んだ発言を行った。

 オバマ大統領「我々は日本のいかなる安全保障にも寄与していることを改めて強調したい。日米安全保障条約5条は、尖閣諸島を含む日本の施政下にある全ての領土に適用される。歴史的にみて、尖閣諸島は日本の施政権下にある現状が一方的に変更されるべきではない」

 アメリカの大統領が「尖閣諸島」を明示して防衛義務を明言したのは初めてのこと。これは日本側が強く求めていたもので会談の大きな成果と言える。

 一方でもう1つの焦点であるTPPを巡る協議は難航しており、結論は出ていない。いまだ豚肉の関税引き下げと自動車の安全基準などで両国の主張が隔たったままで、閣僚級協議が続いている。このため、予定されていた共同声明の発表も先送りされた。

 政府関係者によると、両首脳はまとまってもいないのに声明を出すのは誠実ではない、として発表を先送りした。閣僚級協議を再開するにあたり、オバマ大統領が「担当者にはコーヒーが必要だ」と発言する場面もあったという。オバマ大統領は25日午前、日本を離れる予定で、両政府はそれまでの合意を目指している。