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“成人式”で交流を深める日中の若者たち

2014年4月18日 14:56
“成人式”で交流を深める日中の若者たち

 中国・上海で、日本と中国の若者たちが交流する成人式のイベントが開かれ、多くの日本人留学生も参加した。政治的な関係が冷え込む今、若者たちはお互いをどう見たのだろうか。

 会場に和太鼓の音が鳴り響く。6日、中国の上海で日中友好成人式が開かれた。2014年で3回目となるイベントには、1993年度生まれの日本人と中国人ら合わせて186人が参加し、伝統芸能の鑑賞などを通じて交流を深めた。中国では18歳から成人で、日本の成人式のようなイベントはないという。中国人学生に話を聞いてみると、こう答えてくれた。

 「中国では成人式はないです。親は私たちが18歳になってから自分のことは自分で管理するよう要求しますけど」

 今回、日本側の参加者はほとんどが留学生だった。日中関係の悪化により、2013年の中国への留学生の数は、1万7226人と、前の年より約4000人減少した。留学生たちに、この時期に中国を選んだ理由を聞いた。

 「行ってもないのにみんな中国人はダメだというようなことが多いから、自分が行ってみたいという好奇心があった」

 「父親の仕事の関係で6年間上海に住んでいたことがあって、自分の肌でその時に感じた中国像と、大学生として中国に何を感じるかと思って来た」

 イベントを主催したのは、日本人留学生のグループだ。主催者のひとり、黒田尚希さんは、交換留学生として2013年8月から上海で生活している。黒田さんは、通っている大学の敷地内にある寮で生活している。黒田さんの部屋を訪ねると、「どうぞ」と部屋の中を見せてくれた。

 日本人ルームメイトと2人で生活する部屋は16平方メートル。2段ベッドに机が2つあり、トイレとシャワーがついている。月々の寮費は、食事なしで約2100元、日本円にして約3万4000円だ。留学目的のひとつは、中国語の習得だ。就職活動の際、有利になると考えた。しかし、親からは反対されたという。

 「母が『なんで中国なの?』と。『空気も悪いじゃないの。関係も悪いし、なんで今なの』ってことを、一つ一つ結び目を解くように説明して納得してもらいました」

 黒田さんの友人である、中国人学生の部屋も案内してもらった。葛さんの部屋は、20平方メートルの4人部屋だ。留学生専用の寮に比べて建物も古いが、苦痛は感じないという。また、トイレとシャワーは共同だ。寮内のトイレは、立つとほかの人が丸見えになる昔ながらのものを使用している。黒田さんもたまに使用するそうだが、「校舎のトイレがこんな感じなので、今はもう慣れました」とのことだ。

 勉強から恋愛相談まで、日本の同級生と同じように中国人学生と交流している黒田さん。今後の日中関係への思いを聞いた。

 「距離が離れていない隣の国だし、国は引越しできないので、仲良くしていく方法を探っていくしかない」

 成人式の会場でも、日中関係改善の声が多く上がっていた。

 「これだけ優秀な人材が日中両国にいるので、そのライバルをこんな状態で壁を作ってしまうのはもったいないと思う」

 「うちはハーフなので、お母さんの家族は『島は中国だ』、お父さんの家族は『島は日本だ』と言うのは、すごく複雑な気持ちです」

 そして、中国学生の代表が壇上でこうスピーチしていた。

 「中・日両国は互いに依存し合う密接な関係にあります。私は心から両国の関係が、私たちの成人式みたいに年々よいものになり、もっと輝かしくなることを願っています」