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非常に心が痛みました~笹井副センター長

2014年4月17日 0:06
非常に心が痛みました~笹井副センター長

 STAP細胞論文をめぐる問題で、小保方晴子研究ユニットリーダーの指導的立場にあった理化学研究所の笹井芳樹副センター長(52)が16日、都内で会見を行った。

 笹井氏は再生医療の分野では世界的に有名で、ノーベル賞候補ともうたわれた研究者。論文の執筆においては、全体の監修をした人物だ。

 最大の焦点、STAP細胞の存在について笹井氏は―。

 笹井氏「この現象をもしも存在しないと思っていたら、共著者には加わっていなかったと思います。(Q:今も考えは変わらない?)今の考えとしては、いったん、有望ではあるが、仮説として戻して検証し直す必要がある」

 笹井氏はこのように述べ、現状では“有望な仮説”とした上で、STAP細胞が存在しないと説明できないことが複数あると、その根拠を挙げた。

 そもそもSTAP細胞は、若いマウスから取り出したリンパ球などの細胞に、酸性の溶液で刺激を与え、その後、培養してできる万能細胞と説明されている。笹井氏がまず挙げたのは、培養の際に撮影された映像についてだ。

 映像で、徐々に緑色に変化していく部分が万能性を持つSTAP細胞の塊とされているが、笹井副センター長はこの映像について、「ほぼ全自動的に撮影し、人為的なデータ操作は事実上困難である」と説明し、改ざんできないものだという。

 さらに根拠としたのは、STAP細胞からマウスを作る実験の成功だ。STAP細胞からは、ES細胞など他の万能細胞では作れないマウスの胎盤などができたと主張した。

 笹井氏「STAP細胞という現象は今でも信じられないけど、それがないと説明できないという、自分の中でも今でも不思議な現象。今まで知られている細胞でないことだけは確か」

 では、なぜ監修役の立場で画像の改ざんやねつ造を見抜けなかったのか? 会見では弁解の言葉が並んだ。

 笹井氏「私の今回の役割は、論文文章の改良による書き直しの協力でした。論文投稿までの2年間の過程の中で、最後の2か月強の段階で参加しました」

 また、笹井氏は、以前、小保方さんについて、「何よりも彼女(小保方さん)の実験データが緻密できちっとしている」と称賛していたが、会見では…。

 笹井氏「残念ながら私は、生データや(実験)ノートを見る機会がありませんでした。(小保方さんは)直属の部下ではないという立場にあったため、『ノートを持ってきて見せなさい』というような、ぶしつけな依頼をするということが、現実的には難しかった」

 一方で、先週会見を行った小保方さんに対しては―。

 笹井氏「率直に言えば、非常に心が痛みました」

 専門家は笹井氏の会見をどう見たのか?

 京都大学iPS細胞研究所・八代嘉美特定准教授「STAP細胞があるのか、ないのかという情報について、新しく提示されたことはない。一般的には仮説という状況では論文にはならない訳ですから、きちんとしたデータを収集し直される必要があるということは、お認めになったということだとは思います」

 入院先のテレビで会見を見たという小保方さんは、涙ながらにこう話したという。

 「尊敬する笹井先生が私の過ちのために、会見で厳しい質問にお答えになっている姿を見て、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。申し訳なさ過ぎて言葉になりません」

 信頼性を失ったSTAP細胞。笹井氏は、論文について、改めて撤回すべきとの意向を示した。