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「保安区域」クリックだけで…空港図面閲覧

2014年4月11日 22:37
「保安区域」クリックだけで…空港図面閲覧

 利用者が簡単に商業施設などの構内図を見られるインターネット大手・Googleの地図サービス「Googleマップ」で、ネット上に載せてはならない情報が公開されていた。テロ対策のために隠す必要がある空港の詳しい図面が一般に公開され、誰でも見ることができる状態になっていた。

 「Googleマップ」のサービスのために中部国際空港と新千歳空港がGoogle社に提供していたターミナルの平面図が、流出していたことがわかった。店舗などとともに掲載されていたのは、職員用通路の場所や立ち入りが制限されている「保安区域」などで、テロ対策から非公開にすべき情報がインターネット上で誰でも閲覧できる状態になっていた。こうした事態の原因は「Googleグループ」という無料サービスだった。

 「Googleグループ」は、登録したメンバーが仲間内でメールやデータファイルなどを共有できるサービス。Googleグループでは利用する際に閲覧者を「グループの全てのメンバー」や誰でも見られる「一般公開」などから選ぶことできる。「グループの全てメンバー」を選んだ場合、閲覧できるのは特定のメンバーのみだが、今回は「一般公開」に設定されていたため、検索すれば誰でも閲覧できる状態になっていたという。

 中部国際空港・空港運用本部の荒尾和史本部長は11日、会見で「相互秘密契約を結んで、信頼関係のもとで提供した図面がGoogle社の不注意で流出したことは誠に遺憾です」と話した。しかし、国土交通省は空港管理会社に対し、保安上問題のある情報については提供しないよう指示していたという。

 さらに、空港以外にも、東京駅や新大阪駅の機械室や鉄道警察の取調室などが公開されていたことがわかった。JR東日本などは「列車の安全運行に問題はない場所だ」と説明している。

 こうした事例は過去にもあった。去年7月、Googleグループを利用していた環境省や国交省で内部文書や大量のメールが第三者にも閲覧可能な状態になっていたことが発覚した。

 国の信用にもかかわる、相次ぐ情報流出。企業の情報漏えいに詳しい人は、このように語った。

 ITセキュリティー関連会社「カネアカ」の赤澤仁士社長「(流出させた)当事者がGoogle日本法人であったことが一番大きい。システムはちゃんとしていても、たくさんの人が誤った操作をしているなら、それは良くないシステム」

 国土交通省は全国の空港に対し、同様のケースがないか調査するよう指示している。