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STAP細胞ある…小保方氏“反論”を解説

2014年4月9日 18:50
STAP細胞ある…小保方氏“反論”を解説

 STAP細胞の論文で画像に不正があったと認定された、理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー(30)が9日午後1時から大阪・大阪市内で記者会見を開き、一連の問題について自ら説明した。小保方さんの説明で、疑問点は解消されたのだろうか。社会部の庭野めぐみ解説委員が解説する。

 9日、小保方さん側は、あたかも裁判でたたかうように、理研の調査報告の「文言」への反論のみで、STAP細胞があるかどうかの根幹に関わる「科学的な証拠」の提示はなかった。

 9日の主張をおさらいする。

 まず、STAP細胞がどんな細胞から作られたかを示す遺伝子のデータの画像。調査委員会は、画像を拡大して、もう一つの画像を貼りつけたもので、誤った解釈を誘導する危険があるとして改ざんと認定したが、今回、小保方さん側は「画像を見やすく、わかりやすくするためで、結果の改ざんではない」と反論した。

 もう一つ、調査委員会が不正を認定したのが、STAP細胞が体のいろいろな部分の細胞になる(=「多能性」)を示す画像。調査委員会は、このような論文の根幹となる画像が、小保方さんの博士論文に関連した別の実験の画像が流用されため、「ねつ造」と認定。これについて、小保方側さんは「2011年の内部ミーティングの資料の画像を『間違って』使ったもので、結果を作り上げたねつ造ではない」と反論した。

 しかし、重要な論文に、実験で得られたおおもとの画像を使わずに、なぜ、前に作った内部資料の画像を使い回したのか、それらの実験の日時や詳細などには明確な答えがなかった。

 会見は2時間半に及んだが、一番のポイントとなるのは、「STAP現象はある」「作製に200回以上成功した」とする、現象自体はあるという主張。こうした現象は「ある」「真実だ」と述べ、ネイチャーの論文はあくまでその現象を示したもので、最適な作り方を示したものではない、また「作製にはコツがある」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。また、「第三者が作製に成功した」と述べたが、誰がとは公表しなかった。

 ただし、科学の世界では、仮に論文が不適切だと認定されても、STAP細胞が存在しないとイコールではない。理研今後1年かけて調査していく。

 理化学研究所には問題はなかったのだろうか?

 日本の科学研究のトップを走る理化学研究所は、この論文について当初はバックアップし、大きく発表した。それがいまや対立構造になってしまっている。本来は、理研という組織より、科学者、そして「実証された結果」を、大切にする立場。小保方さんについても、また小保方さんが出した結果についても、本当に大切にするなら、論文の発表前にもっと厳しくみて、慎重にすべきではないかという声も上がっている。

 小保方さんから不服申し立てを受けた理研は、今後再調査するか、まず審査を行う。再調査をする場合、調査委員会は、調査開始から50日以内に不正があったのか、なかったのか結論を出す。不正があったと確認された場合は、理研の規定で処分を検討することになる。不正がないとなれば、名誉の回復などの措置を講じることになる。