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小保方氏「驚きと憤りの気持ちでいっぱい」

2014年4月2日 1:28
小保方氏「驚きと憤りの気持ちでいっぱい」

 理化学研究所の調査委員会は、1日午前に会見を開いて、STAP細胞の論文について最終調査報告を行い、小保方氏の論文に、意図的な不正行為があったと結論づけた。

“世界的な発見”と理化学研究所が胸を張ったSTAP細胞の発表からわずか2か月。その論文の信頼性は失われた。1日の会見で調査委員会が“不正”と判断したのは2点で、その一つがDNAの解析画像だ。これまでの調査で、一部が切り貼りされていることが明らかになっていた。

 調査委員会「(実験結果を)きれいに見せたいという意図、目的を持って行われたデータの加工です。小保方氏が改ざんにあたる研究不正を行ったと判断しました」

 調査委員会は、このように述べて、データを改ざんしたもので、“不正”と判断した。

 また、STAP細胞の万能性を示す重要な証拠画像に、小保方氏の博士論文に関連するまったく別の実験画像が流用されていたことについては、研究の核心である画像をミスで取り違えるとは考えにくく、ねつ造だとした。

 一方、渦中の小保方氏は先月31日に最終報告を受けているが、「改ざん」「ねつ造」と言われると顔色が変わったという。「自分の口で意見が言えないのはつらい」と話しているという小保方氏は1日、弁護士を通してコメントを発表した。

 小保方氏のコメント「驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。特に、研究不正と認定された2点については、理化学研究所の規程で研究不正の対象外となる“悪意のない間違い”であるにもかかわらず、改ざん、ねつ造と決めつけられたことは、とても承服できません」

 小保方氏は“悪意はなかった”と反論、近日中に理化学研究所に対し不服申し立てをするという。

 また、不正とされた画像の切り貼りに関しては、「元データをそのまま掲載した場合に得られる結果と何も変わりません。見やすい写真を示したいという考えから掲載したに過ぎません」

 しかし、このコメントについて専門家に聞くと―。

 京大iPS細胞研究所・八代嘉美特定准教授「『張り替え(切り貼り)を行わなくても科学的同等性は変わらなかった』と言うが、詳細に見てみると実は差異があって、科学的に意味がないことではない。(反論を)すんなり受け入れるのは厳しいところがあるかと思いました」

 八代特定准教授はこのように述べ、反論になっているとは言い難いという。

 そして、会見ではある事実が明らかにされた。

 調査委員会「実験ノートを調べたが、3年間の実験ノートが2冊しか存在しておらず、これらの画像データの由来を科学的に追跡することは、調査委員会メンバーはできませんでした」

 研究者にとっては“財産”とも言える実験ノート。2冊しか提出されていないというのだ。

 調査委員会「これだけ(実験ノートの)内容が断片的な記載で実験がなかなかフォローできないというのは、私自身は(若手研究者を)数十人もった中では経験にないです」

 さらに、不正については―。

 調査委員会「(Q:研究不正は小保方氏単独で行った?)研究不正行為は小保方さん1人です」

 共同研究者の若山教授や小保方氏の上司の笹井副センター長は、不正は認められないが、責任は重大とした。

 では、処分はどうするのか。1日午後、野依良治理事長ら理化学研究所の幹部が再び会見を行った。

 理化学研究所・野依理事長「研究不正と認定された論文一編について取り下げの勧告を行います。関係者の処分については懲戒委員会の議を経た上で厳正に行います」

 今後、懲戒委員会を設置し、小保方氏やそれを管理・監督できなかった共同研究者らについて、処分を検討するという。

 また、問われるのは組織の体制についてだ。

 理化学研究所・野依理事長「(Q:当初の発表に問題はなかった?)広報の仕方にやや誇張があったのではないかと思って反省しています」「(Q:データや記録の管理は個人に任されていた?)データ、実験ノート、その他、実験にかかわる詳細については機関で管理するのが理研の規則です。当然やられているものという認識があって、それが甘かったというのが今回の私どもの大反省です」

 意図的な不正があったと結論づけられた小保方氏のSTAP細胞の論文。では、このような事態はなぜ起きたのか? 専門家は、若くしてユニットリーダーの地位に就いた小保方氏が、共同研究者に信用されたとみている。

 京大iPS細胞研究所・八代嘉美特定准教授「(STAP細胞論文)共著者になっている様々な研究者は、その世界ではすでに名前が非常に著名な研究者であって、自分たちは信頼性を壊すような図の使い方、論文の書き方はしないと。であるからその人(小保方氏)も、やらないだろうというそういう信頼性を持っていたし、大人であるからには、それは守ってくれることであろうと考えていたと。(小保方氏を)大人として、一人前として扱いすぎたということが一つの理由かもしれない」

 共同研究者の1人、若山照彦教授も調査の最終報告を受けてコメントを発表した。

 若山教授のコメント「データの正当性、正確性を見抜けなかったことに自責の念を覚えております」

 小保方氏は1日に発表したコメントの中でこうも述べている。

 小保方氏のコメント「このままでは、あたかもSTAP細胞の発見自体がねつ造であると誤解されかねず、到底容認できません」

 STAP細胞は本当に存在するのか?

 理化学研究所「STAP細胞があるかないかということに関しては何の結論も出ていない」

 理化学研究所は、今後、野依理事長主導のもと、1年程度の時間をかけ、STAP細胞が存在するか否かについて検証作業を行うと発表。

 小保方氏の代理人の弁護士は、今月9日前後に小保方さん自身の会見を設けることを検討中だという。