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あすから日朝政府間協議 双方の狙いは?

2014年3月29日 9:58

 30日から1年4か月ぶりに日朝政府間協議が行われる。中国・北京から中村光宏記者が報告する。

 日朝双方の代表団は、29日中に北京に入る予定。今回の協議の代表は、北朝鮮側が宋日昊日朝交渉担当大使、日本側は伊原純一アジア大洋州局長が務める。会談場所は30日の1日目は北朝鮮大使館、31日の2日目は日本大使館で、30日は日本時間午前11時から協議が始まるとみられる。

 今回の協議での日朝双方の狙いだが、日本は拉致問題を前に進めたい、北朝鮮は経済を良くしたいという狙いがある。先日、横田夫妻と孫のウンギョンさんとの面会が実現したが、28日、古屋拉致担当相は、北朝鮮側が拉致問題解決に向けた前向きな姿勢を打ち出せば、日本独自の制裁措置を段階的に解除することはあり得ると話した。こうした外交カードをちらつかせながら、北朝鮮側からどこまで具体的な対応を引き出せるかが焦点となる。

 一方の北朝鮮側は、まさに日本から経済制裁の解除を引き出したい狙いがあるとみられる。金正恩第1書記は去年12月、叔父の張成沢氏を粛正した。張氏は、中朝貿易に大きな影響力を持っていたため、これまでの各国による制裁に加えて、さらに北朝鮮経済に影響が出ているとみられる。そこで、日本との関係を先に進めようという思惑もあるとみられる。

 北朝鮮によるミサイル発射については、日本側は協議の中で抗議はするだろうが、協議自体に大きな影響はないものとみられる。というのも、今回発射された弾道ミサイル「ノドン」は、最大射程距離1300キロで、日本全域を範囲に収めるもの。しかし今回の発射では650キロしか飛んでいないので、日本への刺激を避けてミサイルの飛距離を抑えた可能性もある。ただ、日本政府は協議で北朝鮮のミサイルや核開発も取り上げる方針で、拉致問題で進展があったとしても、どこまで独自に制裁を緩めることができるか、ともに制裁を科しているアメリカや中国、韓国などとの連携も重要になってくると思われる。