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オバマ政権も推進 “女性の社会進出”

2014年3月21日 21:11
オバマ政権も推進 “女性の社会進出”

 安倍首相が成長戦略の柱の一つとして打ち出す“女性の社会進出”。アメリカのオバマ政権もこの課題に力を入れている。その“女性政策”で重要な役割を担う女性に話を聞いた。

 3月8日、アメリカ・ニューヨークでは、モデルのナオミ・キャンベルさんらが女性の権利向上などを訴え行進した。今年の施政方針を示す一般教書演説で、成長の鍵は女性にあるとしたオバマ大統領。3月を女性の地位向上を目指す特別月間と位置づけ、様々なイベントを行っている。実際、大統領は、積極的に女性の登用を進めている。政権中枢には2人の女性が。さらに、金融政策の司令塔である連邦準備制度理事会のトップにも初めて女性を起用した。

 アメリカのニュースに頻繁に登場している女性がいる。国務省のジェニファー・サキ報道官だ。オバマ大統領の選挙スタッフから頭角を現し、ホワイトハウスの副報道官をつとめたあと、国務省の報道官に登用された。

 「アメリカ政府としての立場、見解、アメリカの外交官としてのメッセージを伝える。これが私の仕事です」

 自らの職務をこう語るサキ報道官。国務省では、副報道官も女性がつとめるなど、女性の登用が進んでいる。サキ報道官はオバマ大統領の唱える女性政策について、自らの思いを話してくれた。

 「オバマ大統領の積極的な方針で、大学を卒業したばかりの女性たちが将来、政府や他分野での素晴らしい仕事につく機会が増えればと思います」

 政治の世界では、女性の登用が増えるアメリカ。しかし、社会全体ではまだまだ課題が残されている。その課題をオバマ大統領はこう語る。

 「男性1ドルに対して、女性はいまだに77セントの収入しか得ていない。女性は家庭と仕事のバランスで負担を強いられている」

 大統領は、男女間の賃金格差といった課題を解決するために、諮問機関を設けている。そのメンバーの一人がエイミー・ローゼンさん。3月初め、日本を訪れた。東京で行った講演では、起業をめざす日本人女性らに自らの経験などを語った。

 「アメリカでは政治・ビジネスの分野で女性の参加が増えているのは事実です。しかし、会社からの補償が少なかったり、企業トップの女性の数は不十分です」

 ローゼンさんは、民間企業で取締役や部長など、幹部として登用される女性の数はまだまだ足りないと指摘する。一方、日本では、女性が企業の取締役や部長に登用される割合は、そのアメリカよりも遙かに少ない約4%にとどまっている。その状況を受けてローゼンさんはこう語る。

 「率直にいって憂慮すべき状況です。指導的立場についている女性はごくわずかで、結婚し子供を産んだ後、職場復帰をしない女性はとても多いのです」

 大学を卒業する女性の数が男性を上回る一方、社会進出が遅れていることについて、ローゼンさんは、こう指摘した。

 「いつでも社会進出できる能力を備えた女性がいる日本には大きなチャンスがあります。古い価値観を解き放つことができれば、多くの問題を解決することが可能になります」

 安倍政権は、指導的地位に占める女性の割合を、2020年までに30%程度に引き上げるとの目標を掲げている。同じ課題を抱える日本とアメリカ。ローゼンさんは、4月下旬に行われる予定の日米首脳会談でもこの課題が取り上げられることを期待している。