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アカデミー賞授賞式 注目の日本人も登場!

2014年3月7日 16:57
アカデミー賞授賞式 注目の日本人も登場!

 ハリウッドで行われた映画の祭典、アカデミー賞の授賞式。ことしは日本に関係のある多くの人がレッドカーペットを歩き、オスカーの行方を見守った。ロサンゼルス支局・加藤高太郎記者が取材した。

 世界中で数億人がテレビでその様子を見守るという“アカデミー賞”授賞式。ハリウッドが最も華やぐ日だ。レッドカーペットには、賞にノミネートされたレオナルド・ディカプリオさんやサンドラ・ブロックさんなどハリウッドスターが勢ぞろいした。日本からは“風立ちぬ”が長編アニメーション賞にノミネート。宮崎駿監督は仕事で参加できなかったものの、鈴木敏夫プロデューサーが法被姿で授賞式に臨んだ。

 この日のレッドカーペットには、ほかにも注目を集めた日本人がいた。独特な雰囲気を漂わせる2人の男女。長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた映画“キューティー&ボクサー”でとり上げられた芸術家夫婦だ。この映画は、“ボクシングペインティング”という奇抜なパフォーマンスで知られる篠原有司男さんと乃り子さん夫妻の日常を、アメリカ人の監督が記録した作品だ。有司男さんは37歳で単身渡米。型破りなアート作品は世界的に高い評価を得ている。その活動を支えるのが、同じくアーティストで21歳年下の妻・乃り子さんだ。

 作品が完成した時、すでにアカデミー賞ノミネートを確信したというお二人。有司男さんはこの日、48年前に5万円でオーダーメードしたというタキシード、乃り子さんはボクシングペインティングで作ったショールを羽織って授賞式に臨む。記者の「オスカーはどうですか?」との質問に、有司男さんは「いただきよ。絶対間違いなし!」と、力強く答えた。

 長編ドキュメンタリー賞は5つの候補から選ばれる。その一つ“バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち”は、有名ミュージシャンを陰で支えたバックシンガーにスポットをあてた映画だ。この作品に登場するシンガーの一人、ジュディス・ヒルさんは、あのマイケル・ジャクソンさんもその才能を認め、デュエットを指名した注目のシンガーだ。実は、母親が東京出身。毎年訪れる日本は、大切な場所だと話す。ジュディスさんは子供の頃の思い出をこう語る。

 「母は日本人だったので、私が小さかった頃、私の髪をどうすればいいのか分からなかったみたい。学校の後ろの席の男子に、『ジュディスの髪の毛のせいで黒板が見えません』って言われたこともあったわ」

 バックシンガーとしてのキャリアに誇りを持ちながら、トップスターを目指して、歌にささげる毎日だ。

 そして迎えたアカデミー賞の結果発表。長編および短編のそれぞれのアニメーション賞にノミネートされた日本の2作品は、惜しくも受賞を逃した。いよいよ長編ドキュメンタリー賞の番だ。果たしてオスカーの行方は?司会が受賞作を読み上げる。

 「長編ドキュメンタリー賞は『バックコーラスの歌姫たち』です」

 この日、授賞式の会場でその瞬間に立ち会ったジュディスさん。その喜びを語ってくれた。

 「素晴らしい。夢みたい。私たちが勝ったなんて信じられないわ。近々、日本を訪ねてアメリカで経験したこの素晴らしい1年のことを話したいわ。より多くの音楽を日本にいるみなさんに届けられたらうれしいです。みんな愛してます」