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世界はどう見た?アベノミクス ダボス会議

2014年1月31日 16:42
世界はどう見た?アベノミクス ダボス会議

 先日、スイスのスキーリゾートで世界の政治・経済のリーダーらが集まる「ダボス会議」が開かれた。このダボス会議で、日本の首相として初めて基調講演を行った安倍首相。アベノミクスを売り込む戦略を世界はどう見たのか。石川真史記者が取材した。

 スイス最大の都市、チューリッヒから2時間余り。登山電車が標高1560メートルのリゾート・ダボスに着くころには一面雪景色となる。周りの山々には街を見下ろすようにスキー場が点在している。人口約1万3000人の街に年間210万人の観光客が訪れ、今の時期は多くのスキーヤーの姿が見られる。

 そんなスキーリゾートに先週、厳しい警備態勢が敷かれた。街の外れには要人が移動する際に使う臨時のヘリポートも。世界の政治・経済のリーダーらが集まる「ダボス会議」ならではの光景だ。街の中心部にある会議場。中に足を踏み入れると奥にはバーが見える。さらにラウンジがあり、くつろいでいる人たちの姿がうかがえる。まさに“世界のサロン”の雰囲気漂う会場だ。

 22日には安倍首相が日本の首相として初めて開会式で基調講演を行った。

 「日本とは、たそがれの国である。そんな論調があった。成長率はマイナスからプラスへと大きく変化した。オリンピック・パラリンピックがあと6年で東京に来ることも人々の心を明るくした。日本に来たのは、たそがれではなかった。新しい夜明けでした」

 安倍首相の講演を聞いた人たちは「政治リーダーのスピーチでは、最も素晴らしいものの一つだ」「我々は日本に多く投資している。安倍氏が首相だからいろいろ進むでしょう」というようなおおむね評価する声が聞かれた。

 アベノミクスで経済に勢いが戻りつつある日本。世界は日本の“課題”をどう見ているのか、会議の参加者に書いてもらった。“よそ見をせず、集中すべき”という男性は「今日本ではとても良いことが起こっているから、改善し成長し続けることに集中することが大事です」と話す。一方で「日本国内では成功するかもしれないが、隣国と平和でなければなりません」と中国や韓国など“隣国との関係”を心配する声もあった。さらに、ダボス会議の常連でもあるローソンの新浪社長は、今回の会議で受けた日本への印象について「総理が、『日本が変わるんだ。世界に期待してください』とメッセージで出した。ダボスで『日本が変わった、ぜひ見たい』と世界のリーダーが期待している」と世界の期待の高まりを感じたという。

 会議に参加した茂木経済産業相も「アベノミクスに質問が途絶えない状態でありました。こういう期待にしっかり応えていくことが日本の責任だと強く感じた」と語る。

 世界の期待を高めることには成功した形の日本。来年のダボス会議では成果を発表できるのか、安倍首相の手腕が世界から問われることになる。