×

極寒のロシア “冷水に飛び込む”習慣!?

2014年1月24日 16:56
極寒のロシア “冷水に飛び込む”習慣!?

 厳しい寒さの時期を迎えているロシアに、凍えるほど冷たい水の中に飛び込む人たちがいた。ロシアならではの習慣に山内記者が挑戦した。

 18日、モスクワでは驚きの光景がひろがっていた。氷点下11℃という気温ながら、次々と水の中に入る人たち。これは、ロシア正教の宗教行事“洗礼式”だ。キリストがヨルダン川で洗礼を受けたということから、この真冬の儀式が始まったという。毎年1月18日から19日にかけての深夜に行われ、牧師が祈りをささげながら十字架をひたした水は“聖水”となる。この聖水の中に全身を3回沈めると、1年間、無病息災でいられると信じられているのだ。水に体を沈めた人々からは「最高」「気分が一新したよ。すべての罪が消えたよ」「生まれ変わったような気分よ!」との声が聞こえてきた。しかし、子どもはというと、「寒い~寒い~」と小さな体を震わせている。大人たちのように気分爽快とはいかないようだ。

 水を浄(きよ)める儀式は深夜に行われるならわしになっているため、赤の広場に近い会場には、少しでも早くこの水に入ろうという人の長い行列ができていた。モスクワでは、約9万人が洗礼式に参加したという。真冬の恒例儀式“洗礼式”。しかし、ロシアの人たちにとって、この寒さの中で水に入るのは洗礼式だけではなかった。

 モスクワでは、冬の間凍るモスクワ川に氷をくりぬいたプールが作られる。休日になると多くの人が訪れ、思い思いに寒中水泳を楽しむ。寒中水泳愛好家たちは笑顔でこう語る。

 「全身が燃えているみたいだ。体が喜んでいるよ!」

 「自然と一体になる感覚が大好き。冷たい水だけでストレスが取れるわ」

 冷たい水に入り泳いだあとは、自然の中でランニングをしたり、まきをたいて暖をとりながら会話をしたりと、冬が長いモスクワならではの楽しみ方のようだ。この寒中水泳に山内記者もチャレンジしたが、あまりの水の冷たさにわずか数秒しか入ることができなかった。

 そのリベンジ、というわけではないが、山内記者は洗礼式の会場で、もう一度水の中に入ることにした。「日本から来ました!」と元気よく観衆に挨拶したのち、体を水中に見事3回沈めることができた。山内記者は、いてつく冷たさを体に感じながらも「とても寒い!最高!」とロシア語で語っていた。

 日本人が参加するのは珍しいからか、地元メディアからの取材も受けてしまった山内記者。今回の取材を通じて、ロシアの文化や冬の楽しみ方に触れることができたようだ。