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中国、海外メディアに“旧日本軍”ツアー

2014年1月18日 19:23

 中国政府は今週、海外メディアを対象に、旧日本軍に関する展示館などをめぐるツアーを行った。安倍首相の靖国神社参拝後、中国はさかんに海外メディアを使って日本批判を強めているが、このツアーにも国際世論を形成する狙いがあるものとみられる。

 中国外務省が主催したプレスツアーには、韓国、イギリス、スペインなどの海外メディアの記者ら約40人が参加した。

 まず案内されたのは、満州事変のきっかけとなり、中国側が「日本による侵略の始まり」とする柳条湖事件の記念館「9・18(柳条湖事件)歴史博物館」。

 歴史博物館・井暁光館長「安倍首相にもここを訪れてもらい、戦争の歴史を認めてほしい」

 また、旧日本軍が捕虜とした欧米諸国の軍人が収容されていた施設「連合国軍捕虜収容所跡地」にも案内し、欧米メディアの論調を引き寄せたいという思惑も透けて見えた。

 参加したインド紙記者「中国共産党はよくこういう宣伝をしているから、驚きはなかった」

 参加した海外の記者からは「尖閣諸島をめぐる対立や靖国参拝の問題が関係している」との見方が聞かれる一方で、「東アジアでの緊張の高まりが心配だ」との声も聞かれた。

 安倍首相の靖国神社参拝以降、中国は各国に駐在する大使に新聞やテレビで一斉に日本を批判させるなど、世論攻勢を強めている。

 一方、日本側も、17日付のアメリカの「ワシントンポスト」紙で佐々江駐米大使が「中国の指導者は国際世論を読み違えている」と批判し、反日プロパガンダをやめるよう求めるなど反論している。

 中国外務省の報道官は一連の大使による日本批判について「世界各地の人々に対し靖国参拝の本質を暴露し、平和への脅威を認識させるため」と説明。今回のプレスツアーもその一環とみられ、海外メディアを巻き込んでの中国の世論攻勢は激しさを増しそうだ。