×

靖国参拝でさらに…日韓関係修復の糸口は

2014年1月3日 0:20
靖国参拝でさらに…日韓関係修復の糸口は

 日本と韓国の関係は、去年末の安倍首相の靖国神社参拝でさらに冷え込んだ。関係修復に向けた糸口は見つかるのか、韓国・ソウルから玄昶日記者が報告する。

 「安倍首相の靖国参拝が、日韓関係の構築と北東アジアの平和と安定に否定的影響を及ぼす挑発とみて、これを強く糾弾する」-先月31日、韓国の国会は全会一致で、安倍首相の靖国参拝を糾弾する決議を採択した。去年、朴槿恵大統領が就任してから日韓は首脳会談を開くことができず、関係は冷え込んだ状態だった。ただ、秋以降は変化の兆しも見られていた。

 日米韓の連携を重視するアメリカが韓国に対して関係改善を繰り返し促す中、日韓の外交当局は水面下で関係改善を模索していた。中国が韓国とも一部が重なる防空識別圏を設定すると、普段は日本に厳しい韓国メディアからも日本との協力を論じる声が上がり始めた。

 こうした中での靖国参拝は、韓国側からすると冷や水を浴びさせられた格好だ。朴大統領は先月30日、「過去の傷をえぐり、国家間の信頼を損ない、国民感情を悪化させる行動がないように望みます」と述べ、安倍首相の名指しは避けつつも、参拝を強く非難した。

 日韓関係の修復はあるのか。日韓関係に詳しい一橋大学・権容爽准教授は「韓国では6月に選挙があり、今年前半は政治の季節。『朴政権は内政で成果をあげていない』との指摘がある。韓国側から関係改善の動きを示すのは考えづらい」と述べ、今回の参拝によって韓国側から働きかけるのは難しくなったと指摘する。

 韓国の外交当局者はNNNの取材に対し、今後も安倍首相の靖国参拝が続くようであれば「朴大統領の就任期間中に首脳会談が行われることはない」と断言。その一方で、植民地支配への反省を表明した「村山談話」について安倍首相自身が引き継ぐことを明言したり、「従軍慰安婦問題」で日本が法的な責任を認めれば「悪化した関係はいくらでも改善できる」と述べ、日本の変化に期待を寄せている。

 靖国参拝後、「日韓関係は大切な関係だ」と述べた安倍首相。その言葉を具体的なアクションに移せるのか。韓国は、日本の出方に厳しいまなざしを向けている。