×

どうなる、来年の日本経済 記者報告

2013年12月31日 1:08
どうなる、来年の日本経済 記者報告

 30日の東京株式市場で、日経平均株価は年初来高値を更新し、今年一年間の上昇率は約56%と、世界で最大の上げ幅となった。本格的な景気回復に向けて動き出した日本経済。来年、日本経済再生につなげるポイントはどこにあるのか。経済部・広芝学記者が報告する。

 京都市の清水寺で発表された今年の漢字は「輪」。オリンピック・パラリンピックの東京開催の決定や、富士山の世界文化遺産への登録など、今年、日本は団結し、「輪」になって歓喜した。

 また、日本の「和食」がユネスコ(=国連教育・科学・文化機関)の無形文化遺産に登録されるなど、様々な分野で世界からの関心が高まった。中でも注目されたのは「アベノミクス」だ。

 今年の東京株式市場は「アベノミクス相場」といわれた。海外からの投資が増え、日経平均株価の1年間の上昇率は約56%と、世界で最高だった。

 株価上昇に最も貢献したのは円相場。4月に大胆な金融緩和がスタートし、為替市場は円安方向に進んだ。円安によって、日本の輸出企業の収益は大きく押し上げられた。

 来年の円相場の見通しについて、「岡三オンライン証券」投資戦略部・武部力也部長は「消費増税というものが予定されているので、景気の腰折れ感を回避するためにも、さらなる追加緩和を市場が渇望しているので、思惑的に円安ドル高が進みやすいと」と述べている。

 来年は、口座を作って株などに投資をした場合、年100万円までの投資額ならその利益に税金がかからないという「NISA(=少額投資非課税制度)」の導入も追い風になるとみている。

 「野村証券」金融経済研究所・海津政信氏は「外国人だけに依存したマーケットから、国内の個人投資家も参加するようなマーケットへ変化」と分析している。

 今年は、円安と株高によって景気が上向いてきた。しかし、日本経済の再生に向けて大きな課題も残っている。「大和総研」熊谷亮丸チーフエコノミストは「企業業績が良くなってきたことが、これから所得の増加につながっていくかがポイント」と話している。

 さらに心配なのは、来年4月からの消費税率引き上げの影響だ。熊谷氏は「来年4~6月期は、いったん消費が落ちる形に。(政府が)5.5兆円くらいの経済対策を打っているので、来年7~9月以降については着実に消費が持ち直すのでは。(アベノミクス)3本目の矢の成長戦略、例えば法人税の減税、規制の緩和、こういうものが滞ってくると、海外の投資家などが日本に対して失望する、政策的なリスクが存在する」と述べている。

 持続的経済成長を実現するためには、アベノミクスの第3の矢である成長戦略が確実に実行されることが鍵となる。日本経済再生に向けて、来年は、安倍政権にとって真価を問われる年となる。