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ヤジ飛ぶ中…猪瀬氏“謝罪”異例の所信演説

2013年11月29日 23:00
ヤジ飛ぶ中…猪瀬氏“謝罪”異例の所信演説

 東京都議会が29日、始まった。冒頭、猪瀬都知事が医療法人「徳洲会」グループからの5000万円の資金提供について謝罪する異例の所信表明演説となった。議会内では、今後もこの問題を追及するとの声も上がっていて、東京オリンピックへの準備など課題が山積する都政への影響も懸念される。

 29日から始まった東京都議会。渦中の猪瀬知事が席に着くと…

 「猪瀬!筋道だけをきっちり通せよ!」

 傍聴人が連れていかれる物々しい雰囲気からのスタートとなった。

 そして、所信表明演説では…

 猪瀬知事「今回の事態により、都民のみなさま、ともに都政を担っている都議会の皆さまに多大なるご心配、ご迷惑をおかけしたことは痛恨の極みであり、心から深くおわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」

 演説は、謝罪から始まる異例の所信表明となった。

 猪瀬知事「医療法人・徳洲会グループに対して、見返りに便宜を図ったことは一切ありません。資産報告書への記載を怠って、先日、訂正いたしました。ひとえに私の不徳のいたすところであります」

 また、自身の進退に関しては、続投する考えを表明した。

 都知事選前に徳洲会側から提供された5000万円の現金について、猪瀬知事は26日、「5000万円は選挙資金ではなく、個人の借り入れだった」と借用書を手に強調した。この借用書は「実印」が押されていないことや、「印紙」が貼られていないことなど、専門家からは疑問点も指摘されている。

 29日の会見でも、借用書の質問が出た。

 記者「どうしてずれてしまったのでしょうか?(借用書)公開する日が」

 猪瀬知事「特別、借用書にあまりこだわりはなかった。確かに言われてみれば、金利がついていないとかありますけど、当時はそういうことについて頭になかったものですから。立候補する、しないということがありましたので、これから先に自分が副知事も辞め、作家活動もなかなかできないことになるかもしれないという不安はあり、そういう不安で個人的にお借りしたつもりでです」

 29日も「個人で借りた」と繰り返した猪瀬知事。

 実は、29日の定例会見は猪瀬知事が一時、とりやめの意向を示し、報道陣の批判を受けて実施することになった。

 都議会で最大の議席を持つ自民党は…

 都議会自民党・吉原修幹事長「説明責任を果たしたという認識は、私自身はもっていません」

 一方、厳しく追及姿勢を見せているのが共産党だ。

 都議会共産党・大山とも子幹事長「百条委員会を設置しようと提案しました。今日の説明では、ますます百条委員会の設置が必要という実感を持ちました」

 Word.「百条委員会」(地方自治法「第百条」の条例に基づき設置される委員会。関係者に証人喚問や記録の提出を請求することができ、正当な理由なく拒否した場合、6か月以下の禁錮、または10万円以下の罰金が命じられる)

 議会が直接調査する「百条委員会」の設置を共産党が提案した。

 猪瀬知事は29日、「(Q百条委員会という声について)できるだけ説明をしていくつもりであります」と述べている。

 今回の議会では、2020年のオリンピック・パラリンピック大会の開催準備などに向けた組織改編案が提出されるなど、オリンピック関連の審議や質疑も行われる予定で、議会での対応次第ではスケジュールに影響するという懸念もある。

 吉原幹事長「都知事は東京の顔であり、オリンピックにとっては日本の顔でありますから、そういう意味では影響がないようにしていかなきゃならないな」

 自民党は、猪瀬知事に今後も説明を求めていく方針。