×

イラン新体制発足、米との関係改善あるか?

2013年9月17日 14:31
イラン新体制発足、米との関係改善あるか?

 ロウハニ大統領による新体制がスタートしたイラン。核問題による制裁の影響で厳しい経済状況を強いられてきた市民からも変化への期待が高まっているようだ。富田徹記者が取材した。

 イランが世界に誇るペルシャ絨毯(じゅうたん)。その絨毯を世界各国に輸出する会社「セタレ・カヴィル」の展示室には、中東最大規模という数千枚の絨毯が並んでいる。「高級絨毯の主な輸出先はヨーロッパや日本です。経済制裁が強化される以前はアメリカにも輸出していました」と語るスタッフ。この会社でも核問題をめぐるイランと欧米の対立による影響を受けていた。

 「セタレ・カヴィル」のサデギアン会長は「残念ながら(経済制裁で)絨毯を日本へ直接送ることができません。ほかの国を経由させるしかないのです」と現状を説明する。制裁により銀行送金も禁止され、厳しいビジネス環境が続いてきた。しかし最近、風向きが変わり始めたという。

 サデギアン会長「今、我々は制裁の問題が将来、解決されるという希望が持っている。未来のことを考えながら、この厳しい状況を耐えています」

 6月に行われたイランの大統領選挙では、欧米との関係改善を訴えたロウハニ師が圧勝。制裁緩和に向けた交渉が始まるかもしれないという機運が高まってきた。ただ、大統領が代わったとはいえ、イラン国内にはアメリカに対して根強い不信感がある。テヘラン市内では金曜礼拝に合わせて、保守派の市民たちによるデモが行われていた。彼らは口々に反米のスローガンを叫ぶ。

 「ダウン・ダウン・アメリカ!(アメリカを倒せ)」

 イランでは王政を倒して現体制が誕生した直後の1979年、アメリカ大使館が襲撃される事件が発生した。以来、約30年に渡る“断交状態”が続いている。襲撃を受けたアメリカ大使館は、今でも町の中で無残な姿をさらしている。

 はたしてロウハニ新体制は、この長い対立の歴史に変化をもたらすことができるのだろうか。ロウハニ大統領の下で大統領室長に就任した“キーマン”のナハヴァンディアン氏に就任直前、話を聞くことができた。「ロウハニ師の新政府には国際社会との関係改善の意志があります」と話すナハヴァンディアン氏。焦点の核問題でも進展が期待できるのだろうか。

 ナハヴァンディアン氏「期待はしてもいいと思うし、期待はされるべきだと思っています」

 ロウハニ大統領はイランの進路に変化をもたらすのか、イランの人々だけでなく国際社会も大きな関心を寄せている。