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米国が化学兵器使用断定の根拠公開

2013年8月31日 8:44

 アメリカのケリー国務長官は30日、シリアのアサド政権による化学兵器の使用を断定した根拠を明らかにした。シリアへの攻撃に向けた条件整備が最終段階に入っている。

 今回、明らかにされたのは、4ページにわたる文書と1枚の地図で、ケリー長官はアメリカ国民に対し、「数千もの情報源から得た証拠を慎重に分析した結果だ」として、「イラク戦争とは違う」と訴えた。

 ケリー長官「アサド政権が反体制派に対して行った化学兵器攻撃に関する我々の情報機関の判断を、あなた自身で読んでほしい」

 ケリー長官は「化学兵器が使われる3日前に、アサド政権側の担当者が現地で準備をしたこと、ガスマスクなどで化学兵器の使用に備えるよう指示が出ていたことなどが分かっている」として、「これらが証拠であり、事実であることに確信を持っている」と強調した。ただ、判断材料となった情報や記録そのものは「機密だ」として、示されなかった。

 また、化学兵器による死者は少なくとも426人の子供を含む1429人に上ると断定している。

 オバマ大統領は証拠の公表後、「何も行動しなければ(化学兵器使用が違反という)国際規範には意味がないというメッセージを送ることになる」と述べ、シリアへの攻撃に踏み切る考えを強くにじませている。その上で、軍事攻撃への理解を得るため、31日も議会や国際社会への働きかけを続ける考えを示している。

 一方で、地中海では5隻の駆逐艦が展開するなど攻撃準備はすでに整っており、いつ攻撃を開始するかというオバマ大統領の最終判断を待つ段階になっている。