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ブルネイ、TPP参加の背景 記者報告

2013年8月30日 2:41
ブルネイ、TPP参加の背景 記者報告

 TPP(=環太平洋経済連携協定)の交渉会合が開かれているブルネイ。石油資源が豊富なブルネイが、なぜTPPに参加するのか。その背景を、現地から本橋和彦記者が報告する。

 今回のTPP交渉会合の開催国であるブルネイは、三重県とほぼ同じ面積の小国で、石油資源などの輸出で東南アジアの中でも豊かな国の一つ。ブルネイがTPPに参加するのには、ブルネイが抱えるある問題があった。ブルネイの石油資源は約23年で枯渇する恐れが指摘されているのだ。

 ブルネイは産業のほとんどをエネルギー資源の輸出に依存してきた。しかし、このまま産出を続ければ、石油資源は約23年後に枯渇すると言われている。そこでブルネイ政府は、エネルギー資源に代わる新たな産業を興そうとしている。その一つが、ハラールフードと呼ばれる、イスラム教徒向けの食品の輸出だ。

 首都・バンダルスリブガワンから車で約1時間の郊外に、日本との合弁で、ハラールフードを生産する建設中の工場があった。「ソイ&ワールド」の山口誠一ゼネラルマネージャーは「日本のスーパーテクノロジーのノウハウと機械をこのブルネイに持ち込んで、食の安心・安全を最優先して取り組んでいきたいと思います」と話す。この会社では、将来的に全世界のイスラム圏マーケットへの輸出を目指している。ブルネイ政府は、こうした新たな産業で外国資本の呼び込みを狙っている。

 それぞれに国内事情を抱えた12か国によるTPPブルネイ会合は、30日、首席交渉官会合の最終日を迎える。