自民党の高市政調会長が１７日、「福島原発事故も含め、これまで原発による死者は出ていない」として原発を再稼働すべきとの考えを示したことを受け、与野党から批判の声が上がった。

　高市政調会長は１７日、神戸市内で講演し、原発の再稼働について「福島原発も含め、死亡者が出ている状況にない。最大限の安全性を確保しながら活用するしかないだろうというのが現状だ」と述べた。

　福島原発の事故をめぐっては、政府は、被ばくによる死亡者は確認していないとしているが、避難による生活環境の変化などにより体調を崩して亡くなった被災者もいることなどから、与野党からは批判の声が上がった。

　新党改革・荒井幹事長「原発が水素爆発してから、避難できないで亡くなっている人が４人いる。どうしてそうしたことが直視できないのか」

　自民党・小泉進次郎議員「政治って自分たちの気持ちを分かっていないと思われかねない。やはりそこは気をつけて発言しないといけない」

　一方、高市政調会長は１８日、自身の発言について次のように弁明した。「被ばくによって直接亡くなられた方っていうのは確認されていませんけれど、安全を確保しなきゃいけないってことを伝えたかったんです」「全くその趣旨が取り違えられて報道されたと思う」

　菅官房長官は「問題になるような発言ではなかった」とした上で、「大変な事故だったということは自民党としても、政府としてもしっかりと受け止めて、復興を加速させるように努力をしている」と述べた。