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「世界で勝つ」首相が成長戦略第2弾を発表

2013年5月17日 18:49
「世界で勝つ」首相が成長戦略第2弾を発表

 安倍首相は17日、「世界で勝つ」をキーワードとする成長戦略の第2弾を発表した。

 前回発表した成長戦略では、「女性の活躍」を中心に暮らしに関する政策をまとめて発表したが、今回の第2弾では「世界で勝つ」をキーワードに、規制改革による投資拡大策や攻めの農業、大学改革、クールジャパン(=かっこいい日本)戦略などが盛り込まれている。

 安倍首相はスピーチの中で、「行動なくして成長なし」として、時間の許す限り自らトップセールスを行い、成長戦略を前に進めると強調した。また、「もう議論は十分だ。とにかく実行に移す」と述べ、規制改革を強力に推進する考えを表明した。

 <民間投資を喚起する成長戦略>

 従来のインフラに加え、医療や食文化といった日本の優れたシステムや技術を世界に売り込み、現在10兆円のセールスを2020年までに30兆円に拡大するとの目標を打ち出した。

 このため、トップセールスや国際標準の獲得など「インフラシステム輸出戦略」に掲げる施策を強力に推進するとしている。

 <イノベーションを促す実証先進国>

 イノベーション(=技術革新)に挑戦する企業を応援するため、環境に優しい燃料電池自動車などについての規制改革を一挙に進めるとしている。

 また、企業ごとに規制の緩和を認める「企業版特区の創設」が盛り込まれた。世界初の技術開発などをしやくすし、国際競争力の強化につなげるのが狙い。

 さらに、この特区制度をアピールして世界中から企業を集め、世界に誇る「実証先進国」を目指すとしている。

 <世界に勝てる大学改革>

 今後10年で、世界大学ランキングトップ100に10校ランクイン(現在2校)を目指すとしている。そのため、国立8大学で、教員の1500人程度を今後3年で世界中の優秀な研究者に置きかえ、外国人教員を倍増させるとしている。

 また、TOEFL(=海外留学選考などの目安として利用される、アメリカのNPOによる英語力テスト)を卒業要件とすることなど、グローバル化に取り組む大学を充実させるため国の交付金など予算面でも支援するとしている。

 <民間投資の拡大>

 今後3年間を「集中投資促進期間」と位置づけ、国内投資を促進するため、あらゆる施策を総動員するとしている。具体的には、企業が最新設備への投資をしやすくするため、リースを活用した支援制度の新設が盛り込まれた。

 これにより、国内の民間投資を促すとともに、介護ロボットなど先端的な技術開発への設備投資を拡大させ、国際競争力強化につなげる狙い。

 <攻めの農林水産業>

 今後10年で農業・農村全体の所得を倍増させる目標を掲げ、目標達成のため首相官邸に農業を強化する対策本部を立ち上げて、農地の集約や、農産物の輸出倍増などを目指すとしている。

 農地の集約では、地域の中心的な担い手農家に、10年後までに農地の8割を集約して(現状5割)効率的で安定的な経営体制にすることで、農地の再編を目指す。

 農産物の輸出に関しては、農家の所得増加と販路を拡大するために、輸出額を現在の4500億円規模から、2020年には1兆円に拡大させることを目指す。

 <クールジャパン戦略>

 海外から日本を訪れる人の数を現在の800万人前後から2000万人の高みを目指すとして、ASEAN(=東南アジア諸国連合)諸国を中心にビザ制度の見直しを行うとしている。また、日本のアニメなど放送コンテンツの海外での放映を政府が後押しし、日本の文化を広めることで訪日観光客の増加などを目指す。

 このため、海外のチャンネルや放送枠の確保のため500億円規模の官民ファンド「クールジャパン推進機構」を創設することや、出演者や音楽など複雑な権利処理、手続きを一元的に管理する窓口を整備することを盛り込んだ。