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オバマ米大統領のイスラエル訪問 記者報告

2013年3月23日 2:10

 アメリカ・オバマ大統領が就任後初めて、イランとの対立が激化しているイスラエルを訪問した。イラン側は激しく反発しているが、オバマ大統領の今回の訪問は緊張を緩和する効果はあったのか。エルサレムから青山和弘記者が報告する。

 国際原子力機関(=IAEA)はイランが核開発を進めていると懸念しているが、イラン・アハマディネジャド大統領は核兵器の開発を否定している。しかし、イスラエル・ネタニヤフ首相はこのまま開発を続けるなら核施設への先制攻撃も辞さないと表明している。

 仮にイスラエルが先制攻撃に踏み切れば、イランが報復を行うのは避けられず、本格的な武力衝突に発展する恐れもある。オバマ大統領はその武力衝突を回避するためイスラエルを訪れた。

 イランの反発も、結局、イスラエルが軍事攻撃に踏み切るかどうかにかかっている。そうした中で、ひとまず軍事攻撃を思いとどまらせるという意味では一定の成果はあった。

 ネタニヤフ首相は、オバマ大統領との間で、イランが核兵器を実際に製造するにはまだ1年かかるという見通しを確認し、今後、連携していくことを確認した。これまでの「もう待てない」という雰囲気からすれば、外交努力を続ける時間的な猶予を長くはないものの認めた形。

 しかし、イランが核兵器の開発能力を持つ前に軍事攻撃も辞さないというイスラエルの姿勢は変わっておらず、これで本格的な緊張緩和につながるのかは不透明だ。

 こうした中、オバマ大統領はイスラエル国民に向けた演説で、「私はアメリカの立場を明確にしてきた。イランには絶対に核兵器は持たせない」と宣言し、会場の喝采を浴びた。一方で、イランに対して核開発をやめるようどのように説得するのかは見えていない。

 演説では平和への努力の大切さを説いたオバマ大統領だが、核開発に歯止めがかかったと説明できる成果があがらないまま時間が過ぎれば、軍事攻撃論が再燃するのは避けられない。