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TPP交渉参加を正式表明へ 反対集会も…

2013年3月12日 19:08
TPP交渉参加を正式表明へ 反対集会も…

 TPP(=環太平洋経済連携協定)の交渉参加問題が1つの節目を迎えようとしています。安倍首相は今週中にも正式に交渉への参加を表明するとみられています。そうした中、12日、東京都内では農業団体などが主催するTPP交渉参加に反対する集会が行われ、約4000人が集まったと発表されました。

 12日、シュプレヒコールが響く東京・日比谷公園。TPP交渉参加に反対する集会には、農業団体や漁業団体の関係者らが、色とりどりのジャンパーなどを身につけ参加していました。JA全中・萬歳章会長はあいさつで「TPP交渉参加に突き進もうとする政府のあまりに早急な姿勢に、動揺と困惑、怒りと憤りが広がっている。徹底した情報開示に基づく十分な国民的議論が行われないまま、交渉参加の可否を判断することは断じて容認できません」と話しました。主催者発表で約4000人が集まったという集会。集会のあとはデモを行い、国会や首相官邸で「交渉参加反対」を訴えました。

 一方、沖縄・南大東島。砂糖の材料となるサトウキビ栽培が盛んで、なんと畑の97%がサトウキビ畑です。TPP参加で仮に砂糖の関税が撤廃された場合、大きな打撃を受けると島の住民は懸念しています。9日、この南大東島を訪れたのは、小泉進次郎氏ら自民党青年局のメンバーでした。TPP推進派の小泉氏ですが、あえて反対の声が強いこの島を視察先に選び、住民との意見交換に臨みました。

 「サトウキビ以外に作れる作物はこの島にはありません。島が無人島になるのは火を見るより明らかです」

 「我々としてはサトウキビをどうしても守らなければいけない。砂糖を守らなければいけない」

 サトウキビ栽培が基幹産業というだけに、住民からはTPP参加に慎重な意見が相次ぎました。

 その後、小泉氏らは砂糖の製造工場を視察。砂糖をひとなめして「(甘みが)残らないですね。さっぱりして、甘いけどね」と語っていました。サトウキビ畑も訪れ、苗を植える作業の説明を受けたほか、機械を使っての収穫作業も見学しました。視察を終えた小泉氏はこう述べました。

 「みなさんが不安なく、この島でこれからも暮らしを続けていけるように、何ができるか考えることに、(TPP参加)賛成反対立場なく、真剣に考えないといけないと思いました。党の力を結集して、これからもこういう現場をみながら、その思いをくんだ(TPP)交渉に向かう姿勢がすごく大事だと思います」

 ところ変わって、11日に行われた自民党のTPP交渉参加問題について話し合う会議では、こんな一幕が。とりまとめ役の議員があいさつしようとすると…。

 尾辻参院議員「あのね、ちょっと待って、ちょっと座んなさい」

 西川TPP対策委員長「命令調はないでしょ。命令調は!」

 尾辻参院議員「何が悪い!」

 西川委員長「なんだ!」

 尾辻参院議員「なんだよ!」

 2人とも言葉を荒らげていますが、いったいどうしたのでしょうか。

 尾辻参院議員「これだけ党内に議論があるのに、なんでこんなに急ぐんですか」

 西川委員長「ここでやるべき話じゃない」

 尾辻参院議員「だからここで…」

 西川委員長「あんたも静かにしろよ!」

 そして、立ち上がり、にらみ合う2人…。

 尾辻参院議員「さっき声を張り上げるなと言ったのはあんただろ」

 自民党はTPP交渉参加について、安倍首相に提言するため、13日の夜、党の意見をまとめる予定ですが、尾辻氏はこのスケジュールが急すぎると主張していたのです。自民党内には交渉参加に向け、不満や反発の声も根強いことが改めて明らかになりました。

 しかし、12日の衆議院予算委員会では安倍首相がこう述べました。

 「今後、参加するかしないかにおいて、しっかりと我々もできる限りの情報は共有しながら議論をする。そして、議論をして決めた以上は、みんなでまとまっていく」

 自民党内のとりまとめにこの日も自信をみせた安倍首相。TPP交渉への正式な参加表明は今週中にも行われるとみられています。