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TPP交渉参加に賛否 支持vs批判

2013年2月26日 19:39
TPP交渉参加に賛否 支持vs批判

 安倍首相はアメリカのオバマ大統領との首脳会談を経て、TPP(=環太平洋経済連携協定)の交渉に事実上、参加を表明しました。帰国した安倍首相はさらに25日、自民党の役員会で一任を事実上、取りつけました。これを受け26日、自民党内では推進派と慎重派の会合が開かれ、安倍首相の方針を支持する意見、批判する意見が出されました。

 26日朝の自民党本部。TPP交渉参加“慎重派”の会合が行われる部屋は、多くの人が集まっていました。集まった議員は約100人。安倍首相がアメリカでオバマ大統領と会談、TPP交渉参加を事実上、表明したことを受け開かれたものです。“TPP参加の即時撤回を求める会”の会長・森山裕議員は「慎重派の議連としても一つの段階を迎えてきているのではないか」と語っていました。そもそも交渉参加には慎重な議員の集まりだけに安倍首相の方針への批判や異論が相次ぎました。山田俊男議員からは「結局は説明が足りないということがあるし、議員全体で確認をしなきゃいかんということがあるから、それらの手順をちゃんと踏もうじゃないかと」という意見が述べられました。さらに25日、党の役員会でTPP交渉参加問題については安倍首相に事実上、一任されたことについても「役員会で全てが決まるのか。非常に大きな問題がある」「一任の前提となる国民的議論もできていないのに一任というのはおかしな話だ」と、出席議員から不満の声が上がりました。

 一方、TPP交渉参加推進派の会合に集まった議員は、慎重派に比べると少数の約15人でした。川口順子元外務相からは「党としてはどうぞ、と。いい交渉してください、と。国益を反映する交渉してください、と言うべき」と、安倍首相の方針を支持する声が上がりました。会合には欠席した小泉進次郎議員は「しっかりと慎重な立場の方、懸念を持っている方々の話をしっかりと聞くという、それが党内、いざ総理が決断された後に立場を1つとして批准できるような内容のTPPにするために、党が1つになるための鍵だ」と語りました。今後、党内での議論の行方が焦点となります。

 26日の国会審議でも、安倍首相はTPP交渉参加について、「党の議論等を踏まえて、また米国との協議を踏まえて最終的に判断していきたいと考えている」と、改めて意欲を示しました。与党内の慎重論を見極めた上で、3月上旬にも交渉参加を正式に表明する見通しです。

 一方、緊急経済対策などを盛りこんだ2012年度の補正予算が、自民・公明の与党に加え、一部の野党が賛成して可決、成立しました。本会議に先立つ予算委員会の採決では、日本維新の会や新党改革などが賛成に回っており、野党第一党の民主党にとって今後の野党共闘に課題が残る結果となりました。

 その民主党は再生に向け、もがいていました。24日、野党転落後初めての党大会を開き、党の基本的な考えである綱領を新たに制定しました。政権与党時代、党内対立が激しく、バラバラとの批判も多かったことから、まずは基本理念を一致させようというのです。しかし、党大会の直前、冷や水をあびせるかのように参議院議員2人が離党届を提出。参議院選挙に向け本当に党が一丸となれるのか不安も残ります。

 惨敗の衆議院選挙から2か月。朝の駅前には民主党の枝野氏が立っていました。民主党政権で幹事長、官房長官、経済産業相などと重要な役職を歴任した枝野氏。立ち止まる人もほとんどいない中、1時間以上に渡って政策を訴え続けていました。

 「朝の街頭演説をより頻繁にできるようになったことが一番変わったことです。政権を担った3年3か月について、色々ご批判をいただき、ご評価いただいたわけですから、信頼を取り戻すには少なくとも同じくらいの時間がかかるのは当然のことだと思うので、焦らずに、じっくりやっていこうと思う」

 枝野氏はこう語りました。

 はたして、民主党の再生は進んだのでしょうか。22日、そのカギを握る細野幹事長に話を聞きました。細野幹事長は「ここが民主党の示すべき方向性だ、立ち位置だ、というところは定まりましたので、ここからそれを伝えることで皆さんの期待に応えられる政党にまた上がっていきたい」と意気込みを語りました。

 では、こうした民主党の姿をほかの政党はどう見ているのでしょうか。自民・石破幹事長は。

 「ご苦労が多いことだと思って見ている。我が党が野党に転じたときもしばらくはぼう然自失状態だったと記憶している」

 そして、日本維新の会・橋下共同代表はこう話しました。

 「僕らと同じような価値観の人もいれば、真逆の人もいれば、党としてはやはりもう体をなしていないのと思う。早く分かれたほうがいいと思う」

 しかし、細野幹事長は「100人、200人いればいろんな考えはある。ただ、よって立つところがここだ、ということさえ確認できれば、後は個別のものはそれぞれみんな我慢するところは我慢して、一致して行動することはできると思う」と話しました。

 3月にはいよいよ来年度予算案の審議も始まります。本格化する国会審議を通じ、民主党は再生した姿を見せることができるでしょうか。