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“ミサイル発射”予告 北朝鮮の狙いは

2012年12月2日 2:25

 北朝鮮は1日、事実上の長距離弾道ミサイルを今月10日から22日までの間に発射すると発表した。北朝鮮の狙いについて、玄昶日記者が報告する。

 北朝鮮は北西部・東倉里から「人工衛星を打ち上げる」と発表した。国際機関への通告は現時点で確認されておらず、詳しいルートは明らかではないが、「南に向けて」打ち上げるとしており、沖縄県などの上空を通過する可能性がある。

 北朝鮮は「4月に失敗した衛星打ち上げの欠陥を分析し、衛星と運搬ロケットの信頼性と精密度を改善する作業を進めた」と自信を見せている。また、今回の発射は「人民を力強く励ますだろう」としており、4月の失敗を挽回するとともに、金正恩第1書記の権威向上など国威を発揚する意図がうかがえる。

 問題は「10日から22日の間」とする発射の時期で、この間に日本では16日に衆院選の投票が、韓国では19日に5年に一度の大統領選の投票が行われる。韓国大統領選では北朝鮮に融和的な野党の候補を後押しする他、韓国の次期政権との協議で主導権を握る狙いもありそうだ。

 また、来月に2期目が発足するアメリカ・オバマ政権に対しては、新たなミサイル発射で国際的な危機を演出し、アメリカを協議の場に引きずり出したい考えで、日米韓の新政権発足を前に揺さぶりをかける思惑がある。

 しかし、国際社会の反発は必至で、韓国の外交通商省は、深刻な憂慮を表明した上で、「発射を強行すれば国際社会の強力な対応に直面する」と警告した。

 北朝鮮としては、国際社会の反発に加え、「失敗」というリスクも承知した上で新たなミサイル発射という賭けに出たともいえそうだ。