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原発事故想定“被ばく低減”試算結果を発表

2012年11月30日 21:06
原発事故想定“被ばく低減”試算結果を発表

 原子力規制委員会は30日、福島第一原発事故のような事故が再び起きた時、住民はどのように避難すれば被ばくが抑えられるかというシミュレーション結果を発表した。

 福島第一原発事故と同程度の放射性物質が放出された際に、屋外にずっと居続けて対策を何もしない場合、1週間の被ばく量は原発から5キロ以内の地域では、少なくとも100ミリシーベルト以上となる。これは、IAEA(=国際原子力機関)が定める「避難が必要となる被ばく量」に相当する。

 今回の試算では、建物の中に退避すれば被ばく量は6割減り、コンクリートの建物内に退避すれば8割減る。原発から5キロを超える地域では屋内退避で100ミリシーベルト以下の被ばく量に抑えられるが、5キロ以内の地域では100ミリシーベルトを超える可能性がある。

 全ての地域で100ミリシーベルトを下回るためには、原発から5キロ以内では、すぐに30キロより外に避難する必要がある。5キロから10キロでは、コンクリートの屋内に2日間退避した後、30キロ外に避難する必要がある。10キロから30キロでは、屋内退避と距離に応じた対策が必要になる。しかし、放射性ヨウ素を吸収しやすい甲状腺の被ばく量については、基準を超える可能性がある。

 甲状腺被ばくを防ぐのが安定ヨウ素剤の服用だが、服用するタイミングによっては効き方が変わってくる。例えば、放出された直後に服用すれば、被ばくを防ぐ効果はほぼ100%生かされる。しかし、10時間後に服用しても効果は半分程度しか期待できない。

 このシミュレーションは、原発を持つ自治体が地域防災計画を作る上で参考にするためのもので、避難方法やヨウ素剤服用のタイミングをうまく組み合わせ、最適な対策を自治体が事前に定めておくことが重要となる。