×

体調不良を理由に田中慶秋法相が辞任

2012年10月23日 19:46
体調不良を理由に田中慶秋法相が辞任

 暴力団関係者との過去の交際や国会審議の欠席などを野党から批判されていた田中慶秋法相が、23日朝、体調不良を理由に辞任しました。野田首相は10月1日の内閣改造で田中氏を起用しましたが、わずか3週間での辞任で、政権にとっては大きな打撃となりそうです。

 23日午前9時20分過ぎ、田中慶秋法相の辞任について問われる野田首相。「おはようございます」とだけ話しました。その直前、午前9時ころに田中法相から辞表が提出されました。藤村官房長官は会見で「田中法相は体調不良により入院し、検査の結果、いくつかの症状で加療が必要だということで、野田首相は大変、残念ではあるが辞表を受理した」と説明しました。そして、民主党の安住幹事長代行によると「体調が万全ではないと診断書もございました」とのこと。政府・民主党幹部は、辞任の理由は体調不良だと強調しました。本人も「高血圧、不整脈等の症状があり加療を要するという診断結果を受けました。職にとどまり職責を全うしたい意向ではありましたが体調が許さず、本日職を辞することを決断致しました」とのコメントを文書で発表しました。

 田中法相が「体調不良」を理由に入院したのは19日金曜日のこと。しかし、それ以前から田中法相は野党からの強い批判を受けていました。暴力団関係者との過去の交際、外国人が経営する企業からの献金問題。さらに、国会への出席要求に応じなかったこと。野党側は強く反発し、田中法相の辞任を求めました。

 こうした状況を受けて政府与党内にも「辞任はやむをえない」との声が出始めました。ところが、19日の会見で藤村官房長官は田中法相の進退について、こう言っていました。

 「田中法相は辞任する意向はない、と伝えてきた」

 田中法相本人は「辞任する意向はない」というのです。ただ、民主党執行部はこのまま田中法相が辞任せず、来週からの臨時国会で集中砲火を浴びると、政権へのダメージがさらに大きくなると判断。水面下で自発的な辞任に向けて動いていました。そして、田中法相は23日朝、辞表を提出しました。

 野党側は田中法相を任命した野田首相を批判しています。自民党・石破幹事長は「体調が不十分であるならば、なぜそのような方を任命したのか。首相の任命責任は極めて重かつ大であると断ずるものだ」と述べました。

 野田首相自身は「政治経験等をふまえて私が選んだ大臣でございました。その任命した閣僚が職務を全うできなかったという意味においては、任命権者の責任はあるというふうに思います」とコメント。さらに「内閣全体で職務に邁進(まいしん)することで責任を果たしていきたい」と話しました。

 このあと、野田首相が向かったのは国会でした。22日から野党の党首と個別に会談し、29日に召集する予定の臨時国会に向けて協力を要請しているのです。この日はたちあがれ日本の平沼代表と会談。会談後、平沼代表は「私が解散権というのは首相の専権事項ですからね、と言ったら、野田首相から“それはもういつまでもやっているというわけではない”という趣旨の話があった」と話していました。

 また、臨時国会に向けては23日、国対委員長同士でも協議が行われました。こちらには19日の党首会談で物別れに終わった自民、公明両党も出席しました。民主党は29日に臨時国会を召集したいとの考えを伝えました。

 臨時国会召集を控え、閣僚辞任というダメージを負った野田政権。後任について野田首相は「早急に決める」と話しています。