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ノーベル賞決定の山中教授、感想は「感謝」

2012年10月9日 1:47
ノーベル賞決定の山中教授、感想は「感謝」

 今年のノーベル生理学・医学賞を受賞することが決まった京都大学・山中伸弥教授(50)が8日夜、同大学で記者会見し、「まさにこれは日本国、日本という国が受賞した賞だというふうに感じています。感想を一言で表現すると、『感謝』という言葉しかありません」と述べた。

 山中教授は大阪府生まれ。87年に神戸大学医学部を卒業後、スポーツ医学に興味を持ち、整形外科医を目指していたが、手術が下手なため断念。医師の道を離れ、基礎研究の道へと進んだ。

 山中教授は07年、ヒトの皮膚細胞から、筋肉や血液など様々な組織や臓器に成長できるiPS細胞(=人工多能性幹細胞)をつくり出すことに世界で初めて成功。iPS細胞は、ヒトの皮膚などの細胞に「4つの遺伝子」を送り込むことでつくることができる。この業績が評価され、09年には「ノーベル賞の登竜門」といわれるラスカー賞を受賞した。

 会見では冒頭、野田首相から山中教授の携帯電話にお祝いの電話があった。その後は、「まさにこれは日本国、日本という国が受賞した賞だというふうに感じています。感想を一言で表現すると、『感謝』という言葉しかありません」「また、家族に心から感謝の意を表したいと思います。私の母は80歳を超えておりまして、その母に報告をできたことが本当によかったと思っています」と喜びを語った。

 また、ノーベル賞の受賞決定を知った瞬間について、「家におりまして、洗濯機がガタガタ音がするので、それを直そうと思って、座り込んで洗濯機を動かそうとしておりましたら、携帯電話が鳴りまして、それが英語でありまして、それで知りました」と話した。

 さらに、「iPS細胞技術というのは、まだ新しい技術であります。まだ本当の意味で、医学や新しい薬の開発に役立ったと言えるところまできていません。やはり、さらにこれから研究を続けて、一日も早く、本当の意味の社会貢献といいますか、医学応用を実現させたい、させなければならないと、そういう気持ちでいっぱいであります」と語った。

 日本人のノーベル賞の受賞は、鈴木章氏と根岸英一氏が化学賞で受賞して以来2年ぶり。生理学・医学賞では87年の利根川進氏以来25年ぶりで、2人目の快挙。