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米大統領選挙 ロムニー氏の発言が影響?

2012年9月27日 17:04
米大統領選挙 ロムニー氏の発言が影響?

 投票日を11月6日に控えるアメリカ大統領選挙。選挙戦も終盤に差し掛かっているが、政権奪回を狙う共和党ロムニー候補のある発言が選挙戦に少なからず影響を与えている。ワシントン支局・青山和弘記者が取材した。

 17日、報道陣をシャットアウトして行われた選挙資金集めパーティーでのロムニー候補の発言がインターネット上に暴露された。その映像でロムニー氏はこう述べていた。

 「どんなことがあってもオバマ大統領に投票する人が47%いる。彼らは政府に頼り自分らは被害者で、政府は彼らの面倒を見る責任があると信じている。彼らは所得税を払っていない。彼らの心配をするのは私の仕事ではない」

 ただでさえ「お金持ちで庶民感覚が分からない」との批判がつきまとうロムニー候補。全米に47%いる所得税を払っていない層に対して「彼らの心配をするのは私の仕事ではない」と言い切ったこの発言の波紋は瞬く間に全米に広がり、市民からは「明らかに国民の半分を見放すようなコメントだね」「僕の周りの人と完全に感覚がかけ離れているよ」との声が上がっていた。発言を聞いた有権者の40%以上が、ロムニー候補の好感度が低下したと答えたとの世論調査もある。ロムニー氏は即座に「上品な表現ではなかった」などと釈明したが、オバマ大統領が畳みかける。

 「大統領になりたければ、誰か特定の人のためでなく、皆のために努力しなければならない」

 そして、ロムニー候補の属する共和党からも「愚かな発言だ」などと批判が噴出。普段は控えめなロムニー候補のアン夫人もいらだちを隠しきれない。批判に対し「やめてください!(大統領選は)大変なんです。だったら出馬してみて下さい」と強い口調で返す。苦しい立場に立たされたロムニー候補だが、それでも支持率の差はまだわずかだ。選挙の行方は依然予断を許さず、10月3日から始まるオバマ大統領とロムニー候補との直接討論が選挙結果を左右する最大の焦点となる。

 ロムニー候補は有権者の注目を自らが得意とする今の景気雇用情勢に引き戻し、オバマ大統領を攻撃する構えだ。24日の遊説では「国民が仕事に就き請求書の支払いを心配しなくてもいいように、再び経済を回復させるために全力を尽くします」とスピーチしている。さらにロムニー候補には経済再生に向けて、より具体的な政策の提示が求められている。

 対するオバマ大統領は「国民の半数を犠牲者だと思い、自分の生活に責任を持つことに関心がないと思いこんでいる指導者を私たちは望んでいないでしょう」と演説を展開した。ロムニー候補は富裕層優遇の弱者切り捨てだとして違いを際だたせる方針だ。そして、オバマ大統領が次の4年間への期待感を高められるか。支持者に投票に行ってもらえるかも大きなポイントになる。

 今後どのようなドラマが待ち受けているのか。アメリカ大統領選はいよいよ終盤戦に突入する。