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反日デモ、中国30都市に拡大 一部暴徒化

2012年9月16日 0:54

 日本政府による沖縄・尖閣諸島の国有化に反発する大規模なデモが15日、中国各地で起きた。デモは少なくとも国内30都市に広がり、日系企業が放火や略奪に遭うなど暴徒化している。

 首都・北京の日本大使館前には約1万人が集まり、「日本人は尖閣諸島から出ていけ」などと訴えながら抗議デモを行った。デモ隊は大使館敷地内にペットボトルなどを投げいれた上、一部が大使館の敷地内へ乱入しようとし、武装警察ともみ合って緊張した。北京でこれだけの大規模な反日デモが起きたのは05年以来。

 この他、内陸部・陝西省西安では、デモ隊が日本食レストランが入る建物を壊して中に乱入、日本製の車が焼かれるなど抗議行動はエスカレートしている。デモは少なくとも国内30都市に広がり、日系企業が放火や略奪に遭うなど暴徒化している。

 デモがここまで拡大した背景には、中国政府が「国民の怒りは理解できる」とデモを容認した点にある。国営メディアは連日、尖閣諸島をめぐって日本批判を繰り返し、デモ参加者の行動はエスカレートしやすくなっていた。

 国民に弱腰だと批判されることを避けたい中国政府は、対日強硬姿勢をアピールし、国民の反日感情への共感を示した。しかし、これまで慎重に管理していた北京の反日デモすら制御不能な規模となったのは、秋の指導部交代を控え、安定を重視する中国政府にとって大きな打撃だ。

 中国政府は反日デモが政府批判へと転じることを警戒している。今後はデモの過激化を抑え込むとみられるが、予断を許さない。