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排気不十分、汚染空気が還流 胆管がん問題

2012年8月31日 21:33

 大阪府の印刷所で胆管がんの発症が相次いだ問題で、この印刷所の作業室は、有害物質を含む空気が十分排気されずに、室内に戻る仕組みだったことが厚労省の調べでわかった。

 厚労省によると、大阪府の印刷所の校正作業室内には、有害な化学物質を使う場合に法律で設置が義務付けられている局所排気装置がない上に、通常、こうした工場にはない空気の循環システムがあったことがわかった。厚労省の模擬実験では、室内に入る空気の56%は、一旦排出された空気だった。

 この環境下で1.2ジクロロプロパンを使った場合、空気中の汚染濃度は高い場所では230ppmと推定され、これを人が吸うと濃度が2倍程度になるため、国際的に急激な中毒症状が出るとされる400ppmと同程度になるという。

 厚労省は、局所排気装置がないために室内の空気が化学物質で汚染され、さらにその空気が室内に戻る仕組みによって、働く人が高濃度の化学物質にばく露した可能性があるとみている。

 厚労省は、印刷所からさらに聞き取りをするほか、来月6日には専門家の会議を立ち上げ、胆管がん発症を労災と認める場合の基準について検討することにしている。