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ロンドン観光に異変…中心部の客足伸びず

2012年8月8日 10:35
ロンドン観光に異変…中心部の客足伸びず

 オリンピックで盛り上がっているイギリス・ロンドンだが、観光などに異変が起きている。当初、大混雑も懸念されていた市内中心部は客足が伸びておらず、不満の声も上がっている。現地から渡辺祐史記者が報告する。

 ロンドンの中心部・リージェンツストリートは、オリンピック開催中にもかかわらず、人出は普段とほぼ変わらず、車は明らかに少ない状況となっている。

 ロンドンでは当初、オリンピック期間中に約600万人の観光客が海外から押し寄せると予想されていた。しかし、オリンピック開幕後、観光スポットの大英博物館ですら入館者数が前年比25%減という状態になっている。中心部では、観光客の伸びを期待していた土産物屋やレストランなどが悲鳴を上げている。

 かつて教会だった場所を利用し、イギリスらしい庭園が見所の庭園史博物館は例年、8月はかきいれ時で、毎週、結婚パーティーの会場として予約がいっぱいになるが、8月の予約は2件だけだという。博物館の担当者は「地元の人たちが街を離れているようです」と話す。

 オリンピックの競技会場はロンドン東部に集中し、その周辺は観光客でにぎわっている。中心部に客が少ない原因の一つとして地元メディアが指摘しているのが、ロンドン市長自らが先頭に立って地下鉄などで行っていた市の混雑緩和キャンペーンだ。オリンピック開幕直前、市長は音声メッセージで「ロンドンには連日、100万人以上が訪れるでしょう。道路と公共交通機関は大変な混雑になる」と呼びかけていた。

 混雑を懸念しすぎるあまり、事前のPRをやりすぎたことが逆に客足を遠のかせているのではないか、華やかな舞台の裏側でオリンピックを運営する側に対して不満も渦巻いている。