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協力から対決へ…自民党「方針転換」のワケ

2012年8月7日 19:41
協力から対決へ…自民党「方針転換」のワケ

 7日朝、官邸に現れた野田首相の表情はうかないものでした。険しい表情の原因とみられるのは自民党の方針転換。自民党は野田首相が早期の解散を約束しない限り、消費税増税法案に協力しないという姿勢に転じたのです。自民党・谷垣総裁は、消費税増税法案の成立について「野田首相の決断と行動にかかっている」と話しました。

 自民党の方針転換の理由は何なのでしょうか。そのひとつは「民主党への不信感」。自民党は民主党・公明党と消費税増税法案を成立させる、と「3党合意」を結びました。法案を成立させたあかつきには、衆議院の解散総選挙に野田首相が応じるのでは、と自民党は期待していました。ところが、野田首相は「来年度の予算編成をしっかりやる」と発言するなど、そのほかの課題にも取り組む意欲を見せたのです。自民党からすれば「野田首相は解散する気がないのでは」と不信感が芽生えました。

 また、「自民党内の強硬論の高まり」も理由のひとつ。民主党の姿勢に不信感が芽生える中、自民党内には若手を中心に「対決すべき」との声が上がるようになりました。自民党・小泉進次郎議員は「速やかに3党合意を破棄して、解散総選挙に向けて党一丸となって進んでいくことを(谷垣総裁に)要望してきた」と、明らかにしました。こうした自民党内での強硬論の高まりが方針転換の背景にあるといわれています。

 また「少数野党の動き」もあげられます。民主党と自民党が法案の採決日程をめぐってやりとりしている間に、みんなの党や国民の生活が第一など少数野党が、消費税増税反対を理由に内閣不信任案を提出する方針を表明しました。消費税増税の必要性は認める自民党としては、この不信任案には賛成できません。しかし、反対すると野田内閣を認めることになるため、自分たちも別の理由で不信任案を提出することを検討しています。不信任案を提出するのに協力し続けるのは理屈が通らないため、対決姿勢に転じることになったのです。