×

初動対応は場当たり的で不適切~政府事故調

2012年7月23日 16:06
初動対応は場当たり的で不適切~政府事故調

 福島第一原発事故を検証する政府の事故調査委員会は23日、最終報告書を発表し、事故の初動での現場対応は場当たり的で不適切なもので、「東京電力」の危機対応能力は脆弱(ぜいじゃく)だったと指摘した。

 報告書は23日の検証委員会で了承され、野田首相に提出された。報告書は、被害が少なかった福島第二原発での対応と比べ、福島第一原発での現場の対応が場当たり的だったために原子炉への注水が中断されたことや、原子炉の水位計が正しく機能していない可能性を考えずに水位計の表示をうのみにしたことなど、初動の対応が不適切だったと指摘している。

 これまで東京電力は、事故現場は可能な限りの対応をしてきたと主張している。これに対して、今回の報告書は「過酷な事故を想定した東京電力の教育や訓練は不十分で、事故への対応能力が脆弱だった」として、「根拠なき安全神話を前提にした事故の想定は極めて不十分だった」と東京電力の姿勢を厳しく批判している。その上で、事故の直接的な原因は自然現象だったとしながらも、深刻で大規模な事故となった背景には、現場の不手際や事前の防止策が不十分だったことなど、複合的な要因があると結論づけている。

 また、事故原因については、地震による原子炉周辺設備の大きな破損は見つからず、事故の直接的原因は津波であった可能性が高いとして、「地震による損傷の可能性を否定できない」とした国会事故調査委員会の主張を退けた。

 一方で、事故後、政府が放射性物質の拡散状況を予測する「SPEEDI」を活用しなかったことについて、報告書は、政府の発想の欠如だと批判した。また、「原子炉への海水注入をめぐって、首相官邸にいた経産省の原子力安全・保安院などの担当者は、誰一人として専門家としての役割を果たさなかった」と指摘するなど、政府の対応も厳しく批判している。