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野田内閣“ダブル問責”の行方は…

2012年4月17日 19:41
野田内閣“ダブル問責”の行方は…

 2011年12月、当時の一川防衛相と山岡消費者担当相の問責決議が可決しましたが、ここにきて、新たに2人の閣僚の辞任を求める動きが加速しています。野党側の今度のターゲットは田中防衛相、そして前田国交相です。

 ゴールデンウィークを前に162キロの区間が開通した「新東名高速」。新しいサービスエリアもさっそくにぎわいを見せていました。その開通式典には、前田国交相も出席しましたが、なんとあいさつの拍子に頭を「ゴツン!」とマイクにぶつけてしまう場面がありました。国交相としての晴れ舞台でなんとも痛い出来事…その前田国交相にとって、文字通り“頭の痛い局面”が続いています。

 岐阜・下呂市長選挙をめぐり前田国交相が、民主党出身の候補者への支援を依頼する文書に署名していた問題。前田国交相は確認しないまま署名してしまったと説明したものの、野党側はこれを公職選挙法で禁止されている事前運動にあたると指摘。

 16日には、前田国交相の政務秘書官が責任をとって辞表を提出したことが明らかになりましたが、自民党・大島副総裁は、「秘書官のせいにして、首を切りましたと、これでお許しくださいということで突っ張ろうとするならば、そういうことも踏まえた対応を考えていかないといけない」と、けん制しました。

 前田国交相は17日の会見で「文書の作成だとか、その送付だとか使い方ですね、そういった事については一切関与してなかった訳です」と、説明した上で「軽率なことがあった反省もふまえて、しっかり職責を果たしたい」と、辞任する考えがないことを表明。民主党・輿石幹事長も16日の会見で「軽率のそしりは免れない。そういうことでしょう。それ以上でもそれ以下でもない」と、辞任する必要はないとの考えを示していました。しかし、野党側から辞任を求める声があがっているのは前田国交相だけではありません。

 北朝鮮による事実上のミサイル発射直後の国民への情報提供をめぐり、防衛省と官邸の間で情報伝達に問題があったとして田中防衛相が批判を受けているのです。14日に行われた自民党・茂木政調会長の講演では、「田中直紀さんは、普通のおじさんじゃない。防衛大臣なんですよ」「やっぱり近々、普通のおじさんに戻ってもらうしかないな」との発言が。

 17日の参議院外交防衛委員会では、自民党・佐藤正久議員が「政府発表が発射から46分と大きく遅れ、沖縄県民だけじゃなく、多くの国民が野田政権の危機管理に不安あるいは不満を呈している」と田中防衛相に詰め寄ります。田中防衛相は「防衛省とあるいは内閣官房との連携、あるいはシステムの中で不安を与えてしまったことに対しては大変反省いたしておりまして…」と、反省の弁を述べたものの、自民党・山本一太議員の「ご自身で身を引くと言っていただけないでしょうか?」との発言に対しては、「私は職責を果たしていきたいし、一日一日全力を尽くしている」と答弁。辞任する考えはないことを強調しました。

 野田内閣の“要”である藤村官房長官も17日、「両大臣ともにしっかりと職責を果たしていただきたいとは考えています」と、発言。しかし、自民党は、田中防衛相と前田国交相の問責決議案を参議院に提出する方針を固めました。問責決議案は、19日の参院本会議で採決される予定で、「可決」する見通しとなりました。

 一方、与党である国民新党・下地幹事長は、参議院で問責決議案が可決された場合、両閣僚が続投することは難しいとの認識を示しました。そんな中、鳩山元首相からは、こんな発言が…

 「数の状況の中で、問責に対しては大変厳しい環境になるのではないかと思っています。民主党としては、その先をきちっと読んでいく必要があると思います」

 消費税増税法案という大きな問題を抱える中で提出されようとしている「問責決議案」。野田首相は難しい選択を迫られています。