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谷垣自民党の2012年

2012年1月3日 16:02

 自民党・谷垣総裁は昨年末の記者会見で、「来年は政治決戦の年だと考えている。もう一回、政治の信頼を作り直す。不退転の決意で戦い抜いていく覚悟だ」と述べ、今月下旬に召集される通常国会で野田政権を解散・総選挙に追いこむとの決意を強調した。

 自民党執行部は通常国会を「勝負の国会」と位置づけ、野田首相が成立を目指す消費税率を上げるための法案や、12年度予算の裏づけとなる特例公債法案に反対するなどして、解散に追いこむ戦略。具体的には、前回の総選挙の民主党マニフェストでは消費税率を上げないとなっていることから、政府が消費税率を引き上げるための法案を国会に出したタイミングで、参議院で野田首相の問責決議案を可決させて解散を迫る案や、特例公債法案が成立しないと予算執行ができないことから、法案成立と引き換えに解散を約束させる「話し合い解散」に持ちこむ案などが取り沙汰されている。

 こうした自民党の戦略には、公明党も歩調を合わせて解散に向けた「野党共闘」を確認している他、みんなの党も同調している。

 しかし一方で、消費税増税の議論をめぐっては、自民党も先の参議院議員選挙のマニフェストで「当面は10%に引き上げる」と公約しており、「政府の消費税増税法案には協力しないが、自民党としての公約は維持する」という曖昧な方針には、党内からも「わかりにくい」と批判が出ている。

 さらに、谷垣総裁は野田首相が呼びかける法案提出前の与野党協議には応じない考えを示しているが、森元首相は「協議に出るべきだ。そうしないと、自民党が政権を取り戻したときに消費税増税はできなくなる」と、単に反対しているだけでは理解は得られないとくぎを刺している。

 先の臨時国会で議論となったTPP(=環太平洋経済連携協定)の問題でも、谷垣総裁は、党としての賛否は曖昧にしたまま、政府の対応だけを「拙速だ」と批判した。こうした姿勢には、小泉進次郎議員ら若手からも「自民党はどうするかを示すべきだ」などと、厳しい突き上げが出た。政権交代後、民主党の内閣が相次いでつまずく中でも自民党の支持率は上向かず、党内からはこうした谷垣執行部の対応が「世論の支持を得られない原因だ」との指摘が出ている。

 さらに、東日本大震災からの復興や福島第一原子力発電所の事故への対応が道半ばの中で政局中心の国会対応では、世論の批判が集まりかねない。

 谷垣総裁は、9月に総裁の任期を迎える。「通常国会の間に解散・総選挙に追いこまなければ、再選はない」との見方が大勢となっており、党内では早くも石原幹事長や石破前政調会長らが「ポスト谷垣」に向けた動きを見せている。

 通常国会で世論の理解を得ながら、野田政権を解散に追いこむことができるのか。谷垣総裁にとっても正念場を迎えることになる。