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内需喚起で日本のものづくりを守れ

2012年1月1日 2:30

 自動車業界の12年のテーマは「内需喚起」。

 日本自動車工業会(自工会)の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)は、12年の目標として国内販売台数を100万台増やすことを掲げている。政府が12年度税制改正の目玉として打ち出したエコカー補助金の復活やエコカー減税の延長による押し上げ効果をどこまで伸ばせるかがポイントとなる。09年4月から10年9月まで実施されたエコカー補助金では、約90万台の販売押し上げ効果があったとされている。

 11年は、東日本大震災によるサプライチェーンの寸断や福島第一原発事故に伴う電力不足、タイの洪水による工場の稼働停止などで、生産計画に大きな影響が出た。販売面でも、エコカー補助金終了や若者の車離れなどにより、国内の販売台数は前年比14%減の425万台にまで落ちこんだ。500万台を割り込むのは09年から3年連続で、ピークの90年(777万台)と比べると4割以上減少している。

 国内の販売が振るわない一方で、長引く円高による「輸出の不振」や、生産の海外移転による「国内産業の空洞化」も深刻となっている。志賀会長は「震災や洪水は、ダメージは小さくないが、裏を返せば、これだけ早く被害から立ち直れたのは、日本のものづくりの底力があったからこそ。我々には日本のものづくりを守る責務がある」と話し、「そのためにも、政府には世界と同じ土俵で戦える環境づくりをお願いしたい」と訴えた。

 裾野の広い自動車産業が税制や予算措置で優遇されることで、利益を拡大し、日本の雇用や景気回復に貢献することができるのか、政策の効果をチェックすることが重要となる。