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過去最大規模の12年度予算案 記者解説

2011年12月24日 19:56
過去最大規模の12年度予算案 記者解説

 政府は24日朝の臨時閣議で、一般会計の総額が約90兆円となる12年度予算案を決定した。規模は事実上、過去最大となり、借金に依存する割合は過去最悪となった。経済部・石川真史記者が解説する。

 野田首相は予算案の決定後、「日本再生元年予算と位置づけられる予算ができたと思っています」と述べたが、国の台所事情はかつてないほど悪化している。12年度予算案の一般会計の総額は90兆3300億円となり、6年ぶりに前年度を下回った。しかし、ここには計上されていない復興予算や基礎年金の国の負担分を含めると、97兆円に迫る、事実上、過去最大の規模となった。

 こうした費用を賄うため、借金も増えている。一般会計では、新規国債の発行額は44兆円2000億円となり、借金への依存度は49%と過去最悪になった。また、これとは別に、復興費用のために「復興国債」を2兆7000億円発行する他、基礎年金の国の負担分として将来の消費税率の引き上げ分をあてにした特殊な国債「交付国債」を2兆6000億円発行する。

 安住財務相は24日午前、「予算の国債依存の態勢は、そろそろ限界に来てしまった。抜本的な税収構造の見直しをしない限り、公共サービスを保つのは難しい」と述べている。

 政府・民主党は、消費税の増税を含めた「社会保障と税の一体改革」の素案を年内に取りまとめる方針だが、与党内には増税に慎重な意見が根強くある。悪化の一途をたどる財政に明確な対応策を示し、行動できるのか、政権与党の手腕が問われている。