タイの洪水は首都・バンコク付近まで到達し、北部・ドンムアン区の一部では２０日夜から浸水が始まった。浸水はバンコクの他の地域でも見られ、地元当局は北部・東部の９地区に避難の準備を勧告している。また、西側の地域にも北から大量の水が押し寄せるおそれがあるとして、２１日朝に注意を促した。

　洪水が迫っていることで、バンコク市民も落ち着かない様子で、高架を走る有料道路は端の車線から長い車の列で埋まり始めた。車の浸水を避けるため、市民が勝手に持ち込んでいるためだ。

　浸水が始まった地区は日本人が多く住む中心部からは約２０キロ離れているが、被害を避けるために一時帰国する動きも出始めている。

　増え続ける水を前に、タイ政府は閉じていた水門を開き、バンコク東部を通る水路などから水を海に流す作戦を取り始めたが、この手段によって水路周辺が浸水するおそれもあり、予断を許さない状況が続いている。