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大規模なオゾン層の破壊、北極で観測される

2011年10月3日 22:10
大規模なオゾン層の破壊、北極で観測される

 皮膚ガンの増加など、人の健康に影響を及ぼす大規模なオゾン層の破壊が今年の春、北極で観測されていたことが初めてわかった。

 国立環境研究所などの研究グループが気球などを使って行った観測によると、今年3月から4月にかけて、ピーク時には北極圏で最大で8割のオゾン層が破壊されたという。オゾン層の濃度が低いエリアは北極圏を中心に、フィンランドやロシアの一部にも広がっている。長さは約3000キロ、幅は約1000キロの楕円(だえん)形で、日本列島がすっぽりと入る大きさだという。今年の冬は、北極上空でマイナス80℃以下の低温状態が長く続いたため、オゾンの減少に拍車をかけたとみられる。オゾン層はフロンガスなどによって破壊され、これまで南極では大規模なオゾンホールが確認されていたが、北極で大規模なものが観測されたのは初めて。

 国立環境研究所地球環境研究センター・中島英彰室長は、北極のオゾンホール発生は、北欧など人が多く住む地域で有害な紫外線が増加することを意味しているため、今後、皮膚ガンや白内障の増加が心配されるということで、監視が必要と話している。