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“9.11から10年”進まぬ身元確認

2011年9月6日 13:26

 「アメリカ同時多発テロから10年」シリーズ2回目。ニューヨークで犠牲となった2753人のうち、10年たっても1100人以上が遺体の確認ができておらず、照合作業は現在も行われている。

 身元が特定されていない遺骨は、ニューヨークの中心部に設置された白い臨時テントの中に安置されている。01年、現場からは2万以上の部分遺体が発見された。しかし、現在も9000の身元がわかっていない。身元不明の遺骨は今後、現場に建設中の博物館の地下に集団安置されることが決まっている。しかし、一部の遺族からは不満の声も上がっている。

 遺族の女性「博物館の地下に安置するなんて、(亡くなった)息子への冒とくであり、絶対に許しません」

 遺族の反発に対し、ニューヨーク市は、安置所への遺族以外の立ち入りの禁止や、身元の確認作業の続行を説明している。

 現在、市の検視局では、5人の科学捜査担当官が専従し、DNA鑑定を使って照合を行っている。しかし、遺骨のDNAの劣化が激しく、今年に入って新たに身元が判明したのは2人だけだ。ニューヨーク市検視局のマーク・デザイア氏は「科学捜査の担当官は、どんな事故や事件でも感情移入しないよう教えられます。しかし、9.11テロだけは特別です。全員の身元が判明するまで、鑑定を続けていきます」と話している。

 身元不明の遺骨をめぐって遺族とニューヨーク市の溝が埋まらないまま、現場では10年の節目を迎える。